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01
September
2024

【2024】よびごえ日誌 vol.10 夏休み番外編

みなさん、こんにちは。夏休み番外編2度目の小田です。
8月28日に、青森県つがる市内の某中学校にて、合唱の授業をさせていただいたため、記録として残しておきたいと思います。
 
最初にご連絡をいただいたのは、今年の5月中旬、合唱指導を頑張りたい!という音楽科の先生からのご連絡でした。昨年からご相談を受けており、女声の先生なのですが、当時は特に男声への指導に悩みがあるとのことでした。各学年1学級で、今回は、それぞれの学年での授業を1回ずつ持たせていただきました。今回は、全学年に対し、「基本的な発声を学ぼう!」というテーマで授業をしてほしいとのことでした。
 
第一印象として、どの学年も、話を聞く態度、言われたことに挑戦してみる姿が素晴らしく、めちゃくちゃ授業しやすかったです。
 
中学生を教えるとき、特に部活動ではなく、授業での指導を行うときは、当たり前ですが、様々な生徒がいることを前提として、指導を行います。例えば、そもそも音楽が好きではない子(自分からは音楽を頑張れない子)や、好きだけれども目立つことは避けたい子、先生の話が長いと情報が頭に入ってこない子、反対に、ものすごく音楽が好きな子、これをもっと頑張りたいという意識がはっきりしている子などです。
 
授業の鉄則である、
 無駄なことは話さない
 大事なことは短く・簡潔に
 時間配分は計画的に
を守りながら、あとは子どもたちの表情や反応を見ながら、授業を行いました。
 
発声について、細かく話せるネタはたくさんありますが、大事なことは、「1回の授業で」「何をどこまで伝え、できるようにするか」、ということだろうと思います。知ってることは何でも伝えるのが良い先生ではありません。伝えるだけ伝えて、できない、というのは、「何ができるようになった授業なのか」分からないからです。
教育介入は、介入した成果(何ができるようになったか)がポイントになってきます。
今回は、多くの場合に改善がみられる「発声のポイント」とその実践を、生徒と、音楽科の先生にもお伝えできることをねらいとし、特に、生徒だけでも自主的にすぐに実践できる内容にしたいと思って、考えました。
 
発声のポイントは、発声練習をしながら、以下を1つ1つ順番に伝えていきました。
 1.姿勢
 2.口の開け方
 3.ブレス
 4.息のスピード
(5.調音ポイント)
 
ドレミレドーの発声をa母音で行い、半音ずつ上がり、途中から下がってくる、という一般的な発声練習を用いながら、「(これまでに)先生に教えてもらった正しい姿勢になっているかな~?確認してみよう。その姿勢が崩れないように意識しながら発声練習をするよ」というスタートから、いくつか発声を進めると、「姿勢はみんな大丈夫そうだね。これから1つ1つ、新しいことを伝えていくよ。まず、口の開け方なんだけど、奥歯と奥歯の間を 2cm 開けるとすごく声が変わるんだよ。みんな、2cmってどれくらいかな?手でやって見せて。お、みんな2cmってだいたいそれくらいだよね。それをそのまま奥歯の横に持っていって、その幅の分、口を開けられるかな?そうだね、すごい口を開けるんだね。僕も2cm開けてみると、しゃべっている声もこんなに変わるんだよ!みんなも、2cm開けた状態の声のまま歌えるかなぁ?やってみよう。」という具合に、発声練習を進めながら、1つ1つ、ポイントを伝えていきました。まず、覚えてほしい、感じてほしかったのは、奥歯と奥歯を開けると声が変わる、ということでした。2cmというのはあくまでも例です。科学的な根拠があるわけではありません。ただし、1cmでは狭く、あんまり音色も変わりません。3cmだと、特に中1の場合、顎に負担がかかる危険もあったためNGと判断しました。2cmは、ちょうどよさそうな数字として選んだものです。
 
ブレスについて、鼻から吸うことは、先生からすでに指導がなされていたため、鼻からの吸い方が2種類ある話をしました。勢いよく吸って、ノイズが鳴る吸い方を示し、マネをさせる活動から、つぎに、ノイズが鳴らない、静かなブレスをマネさせました。その両方が全員出来ることを確認したのちに、ノイズが鳴る方は、実は息はたくさん吸えないこと、ノイズが鳴らない静かなブレスはたくさんの息が吸えることを説明し、歌には、静かなブレスが良いことを伝えました。
ブレスについてはもう1つ、時間をかけて吸おう!ということを伝えました。肺に空気をためておくことは、歌のもっとも基本的なことであり、酸素の量が無ければ、長いフレーズを歌うことはできません。指導の場では、一瞬で吸うのではなく、2秒かけて吸おう、ということを伝えました。これも、僕がブレスを目の前で例で見せて、一瞬で吸うバージョンと、2秒かけて吸ったバージョンの違いを理解してもらおうと努めました。
発声練習の中で、1フレーズ歌い終わると「はい、もう次のブレスのこと考えるよー。2秒吸えてるかなぁ?」「どこかで鼻が狭いブレスの音がするよー 静かなブレスを意識するよー」と、声掛けを行い、自分で意識できるように働きかけました。
 
ブレスについて、おおよそ全員が意識できるようになってきたら、次は息のスピードの話をしました。
リコーダーの例を出し、「リコーダーの低いドの音と、高いドの音はどちらが出しやすかった?」と質問してみると、だいたいどの学年もありがたいことに「低いドの方が息が難しかった」と答えてくれ、「低い方が息をゆっくりにする必要があったから、息のコントロールが難しかったんだね。」という風に、「息のコントロール」というキーワードを出しながら、低い音は息がゆっくりで、高い音は息が速いことを伝えました。これはフルートやトランペットといった、息を用いる楽器であれば共通したものであること、そして人間の声も共通していることを伝えました。「高い音が苦しくて出ないという人いる?」と質問すると、何人かは手を挙げてくれ、「もしかすると、これができるようになるとつらくなく高い音が出るようになるかもよ?」と学びの展望についても触れながら、進めていきます。
右手でも左手でも良いので、人差し指を鼻に当て、ゆっくりした息の場合は、人差し指に当たる息が温かく、ノイズが小さいことを全員で確認します。その次に、速い息の場合は、ノイズが大きいことを全員で確認します。その次に、ゆっくりした息からはじめてだんだんと息が速くなる(小さいノイズからだんだんノイズが大きくなる)練習をし、その後に、強いノイズがキープされる練習を行います。全員で練習をするときは、ブレスは2秒かけて吸うことを思い出させながら実施します。
ここまでできたら、息のスピードと声の関係について説明します。ゆっくりした息の場合は、柔らかい声になるが、速い息の場合は、最初から強い音が鳴ることを、実際に声を出しながら説明します。ここで、ポイントとなるのが息は速いのに、声が柔らかいという誤ったパターンを先に見せておくことです。僕の経験上、これを説明せずにやると、ぐちゃぐちゃになったり、説明に余計な時間がかかることが多いです。今回も最初から例としてそれを示すと、「息のスピードと声がなんか違う」ということに気づいてくれ、自分がやるべきことをより細かく理解してくれた様子でした。
ここまで説明したらば、まずは人差し指を鼻に当て、速い息で勢いを持続させる練習をし、その次にすぐ、その速い息の使い方のままドレミレドーをa母音で歌う発声で歌ってごらんと言い、進めていきます。1発目でうまくいく学年もあれば、どうしても、歌になると息が弱くなる学年もありましたが、大事なのは、違ったらすぐに止めることと、「僕に聴こえるのはこんな感じだよ」と、マネをして返すことです。マネをすると、「あ、たしかに息を速くしたいのに、歌になると違ってた」と気づいてくれます。それを繰り返していき、良かったものがあれば「それだね!」とすぐさま伝え、「これでいいのか!」という安心感を生徒に与えながら、正しい体の使い方が連続的にできるようになるまで見守ります。そうして、ある程度息のスピードが意識できるようになれば、復習も兼ねて、「奥歯と奥歯2cmあいてるかな?」「ブレスは音がしないで2秒吸うよ」「姿勢は大丈夫かな?」と声をかけていきます。
 
1,2年生は、ここまでがだいたい20分でできました。
できたところで、復習をします。僕からさんざんキーワードを聞いていたからか、「発声のポイント、大事なことを復習するよー。奥歯と奥歯の間は?」「2cm!」「ブレスの時に音はする・しない?」「しない!」「ブレスは何秒?」「2秒!」「息のスピードは速い・遅い?」「速い!」と、本当に、ぽんぽんと2つ返事ですぐ返してくれました。
この後は、各学年ごとに異なる合唱曲に取り組んでいたため、それぞれの曲でもこれらの発声が意識できるか応用していく時間にしました。
 
3年生は、声がそもそもよく響いていたのと、上記が15分くらいでできてしまったため、調音ポイントというプラスアルファの話と実践をしました。私たち人間の楽器としての不思議と、「響く場所をイメージする」ことで大きく声が変わることなどを、鼻腔の奥のポイントを実際に生徒と共有しながら進めていきました。なかなか、これは言葉として書くのが難しいため、省略しますが、声がどんどん変わっていき、つがるの子たちは、やっぱりいい声をしているなぁと感動しました。
 
音楽の先生が、普段から「振り返りシート」を毎授業で書かせていたことから、授業の最後は振り返りシートを書く時間を取りました。のちほど全学年分見せていただいたのですが、今日僕が伝えたことを、多くの生徒が振り返りシートに書けていました(とっても安心しました)。
 
声楽を教える場合、先生のいい声を聴かせ、鼻の前の方で響かせるんだよ、マスケラ!、アペルトして、ジラーレだ!、というのは本当にいろんな現場で耳にしますが、決してそれらを批判するわけではありませんが、場合によってはそれらが言葉遊びになってしまい、ジラーレという言葉は知っていても、できないという教育をしてしまっていないか、そこには常に反省的になる必要があると思います。かえって、僕の今回のやり方は、見方によっては陳腐で、声楽の本質を何も伝えていないということもあると思います。
ただ、今回の授業の条件として僕が介入できるのは1回だけであり、だからこそ重視したのは、その1回で、明日も生徒が教師の力を借りずに自ら復習でき、生徒によってあまり理解に差が出ない知識と感覚を提供することでした。奥歯を2cm開けることは、生徒によって差が出づらいと思いますし、2cm開ける前と後とではサウンドが異なることは多くの生徒が理解できる感覚に思います。一方で、例えばジラーレという言葉は、まず言葉の意味が分かる子と分からない子で分かれると思いますし、正しくジラーレができている状態を運よく掴めたとしても、それは、ブレスの仕方や、鼻腔の広がりとキープ、息の回し方などがすべて正しく嚙み合った瞬間的な状態であるため、生徒によっては、そのどこかだけを切り取って覚えてしまった場合、先生の指導があればうまくできても、一人でやるとなんかうまくできない、という状態になってしまいます。僕がずっとそばについていれるならばそれは問題のない指導(むしろ素晴らしい指導)に思いますが、1回しか介入できない状態で、そうした指導をする場合、音楽科の先生にも迷惑が掛かりますし、生徒は「よく分からなかった」で終わってしまう、無責任な指導に陥ってしまう危険性もあります。
 
1回限りの限定的な介入における、中学校の全学年を対象とした発声指導の記録を残しましたが、数年後、また僕の考えも変わるかもしれません。いつの日かのための記録として、書きっぱなしの文章を残しておきます。
 
最後に、中学校の帰りに見た景色が美しかったため、写真も残しておきます。…
22
August
2024

【2024】よびごえ日誌 vol.9 夏休み番外編

B類1年加藤優奈です。
初めてのよびごえ日誌は、某高校のコーラス部訪問を通して感じたことを書きたいと思います!(推定読了時間は 2 分です、お付き合いください笑)
私は中学、高校で合唱部に所属していました。純粋に歌うことを楽しんだ時期、大会の結果に一喜一憂した高校時代、多くの人や音楽との出会いを経て、「合唱」についてどこか俯瞰的に考えるようになった今日この頃です。今回訪問した高校のことは高校時代から存じ上げていたので、練習の様子を見学できることをとても楽しみにしていました。音楽的にも人間的にも大変素晴らしい活動に出会うことができ、とても刺激的な時間でした。はじめに、彼らの演奏自体の魅力については、私の言葉では表しがたいと感じたため省略いたします。
 
今回の訪問で印象的だったのは、すべての行動がシステム化されていたこと、多くの生徒さんが音楽についての高度な知識、技能を持っていること、それを言語化して仲間に伝える能力に長けていたことです。まず音楽室に案内されると、いくつかのホワイトボードや黒板が目に入ってきました。その日の練習計画が分単位で書かれたもの、各パートの課題と目標が書かれたもの、歌詞解釈のメモがされたもの等がありました。あらゆる事項を可視化することで、指示を待たず、各々が今するべきことに注力できる…なんと合理的でハイレベルな空間なんだ!!と衝撃を受けました。ほかにも、部員の出欠確認、通し練習の録音と再生、事務連絡といったあらゆることを、生徒さんが分担して確実に行う姿がありました。まさに社会の縮図ではないでしょうか。指導者の裁量で「高校生はこれだけしていればよい」と決めつけてしまうことはあまりにもったいない…小田さんが以前おっしゃっていたお話を思い出しました。
 
また、隙間時間に筋トレをする男子生徒さん、先輩にアドバイスを求める生徒さん、廊下で発声練習をする生徒さんなど、各々が自主的に練習に取り組んでいました。そして音楽的な知識と技能を持つ生徒さんが非常に多いです。さすが強豪校です。ロングトーンのコツや表情と響きの関係、子音の立て方などに言及する姿は、既に立派な指導者だと思いました。
 
彼らを見ながら、もし自分がこうした集団の指導者になったら…と考えていました(なんとおこがましい)。私は、角が立たない物言いにするために回りくどい表現をしてしまうのですが、頭の切れる生徒さんにそうする必要はないのです。「いい音楽をする」という揺らがない共通目標があり、その達成に向けた「根拠のある端的な指導」を求めているように感じました。なんだか冷たい書き方をしましたが、決して薄情な方々ではありません。差し入れのお菓子に歓声をあげる場面や、本番前の緊張を共有する時間は、人間味あふれるひとコマでした。楽譜の山のとなりに置かれた数学の問題集(と赤本)を見て、部活と勉強の両立を高いレベルで目指しておられる某高校のカラーがうかがえました。先生は、彼らが音楽だけに生きてはいないことをご存じのうえで、高校生活に合唱という彩りを添え、生徒さんを精神的に支えていらっしゃる存在だと思いました。たった 3 時間見学しただけの私が述べるのは恐縮ですが、以上が部活動や指導について考えたことです。
 
 
音楽的なことについては、先生の「男声も女声も(男性、女性?)、同じからだなんだから、一緒に教えてもらえばいいじゃない」というお言葉が特に印象的でした。音楽、こと声楽は性差を感じやすい活動だなと思っていましたが、それを過度に意識する必要はないと学びました。小田さんのおっしゃる、声楽は性別を問わず、身体をあけて息を流すだけの営みであるのだ、というお話をリアルに感じました。ぶっちゃけた話、私は男性を羨ましいと思うことがあります。女性でテノール歌手の方は稀有な存在ですが、カウンターテナーの方は何人もいらっしゃる(≒女声の音域の指導を実践的に行える)ことからも、男性のほうが混声合唱の指導に向いているのではないか、と思ったこともありました。しかしよびごえでの活動を通して、合唱指導には実践だけでなく理論も必要なのだという、当たり前のことに気づかされています。私は男性の声を出すことはできませんが、発声の仕組みを学ぶことはできます(そもそも声は一人ずつ違いますから、女性なら、ソプラノなら理
解できるはずだと思い込むこと自体が危険なのかも?と書いていて思いました)。これから様々な理論を学び、それを言語化する力を身につけていきたいです。
 
最後に、指導者にとって最も大切なことは性別や年齢ではなく、人間性なのだと感じました。後日行われたコンクール本番を見に行き、某高校の演奏を聴いてきました。我々は本番直前期にお邪魔したのですが、その日の通し練習では先生からも生徒さんからもいくつかの指摘がありました。帰り道に小林さんもおっしゃっていましたが、先生に対しても意見を言える雰囲気、それを受け入れてくれる先生のあたたかさが、あの一体感を生んでいるように思えます。そして本番、相変わらず素晴らしい演奏を披露されました。以下は私の主観ですが、あの時指摘があった諸々の課題が改善されており、本番直前まで成長し続けているチームなんだなぁと心にくるものがありました。指揮を振る先生の腕は、大きくは動いていませんでした。指揮者と歌い手の間にある確かな信頼関係によって、あの音楽は生まれているのだと思いました。先生に心からの敬意を表します。
 
小田さん、某コーラス部の先生と生徒さん、この度は素晴らしい機会をありがとうございました。そして 4 人の先輩方と一緒に、東京から某都市へのプチ旅行に行けたことを嬉しく思います。ここに記しきれなかった学びも多くあります。
1年前、受験勉強の合間によびごえ日誌を読んでいた私は、こんな経験ができるなんて思ってもいませんでした。今本当に楽しくて幸せです!秋学期もどうぞよろしくお願いいたします。 加藤優奈…
20
August
2024

【2024】よびごえ日誌 vol.8 夏休み番外編

みなさん、こんにちは。小田です。
昨日の勉強会に参加された皆さん、本当にお疲れさまでした!音源はまた後日もらえるものでしょうか?勉強会そのものの企画・運営をくださった室伏さん、小林さんをはじめ、参加団体の皆様等、すべてのみなさんに、感謝しています。こうした機会をつくってくださったこと、本当にありがとうございました。
 
さて、今日は、よびごえ初の試みとして、東京を飛び出し、とある高校のコーラス部さんの練習を見学させていただきました。今回のよびごえ日誌では、そのことについて綴ろうと思います。長くなると思いますが、僕の記録のためにも、感じたこと、考えたことの一部分を書き残したいと思います。
 
昨日、一足先に高校さんにお伺いし、稽古を見させていただきました。最初に目にしたのは、部活が始まる前に筋トレをしていたり(僕が見たのは腹筋)、楽譜を見ながら確認している姿だったり、小さなキーボードを持って1人1人が発声練習をしている様子でした。音楽室のこの感じ、「なつかしい!」というのが真っ先にありました。ノスタルジックな書き方をしたいわけではありませんが、高校生の頃、僕は一日中合唱について考えていたと言っても過言ではないくらいに、合唱が大好きで、授業中も、内容に不安が少ない教科については、「今日のパート練で何やろうかな」「あそこが歌えてないからもう少しこうしたいんだけど、どうやったら声が変わるんだろうか」と、そんなことを考えながら、窓の外を眺めていたことを思いだします。部活後の音楽室も好きで、男声でパート練をしていると「はよ帰らんかい~」と言われて帰っていたのを覚えています。大学にいると忘れがちな、現場の「匂い」とでも言いましょうか。大学の講義や教科書、論文には無いリアルです。
発声練習は、その流れが身体に染み込んでいるスムーズさで、無駄がなく、発声練習後は、ペアになっていた先輩が後輩に助言をするという、「教える」活動が組み込まれていました。「教える」ことには、知識も技能も求められますし、その人の言うことを聞こうという信頼関係も求められます。とりわけ、パート練を引っ張っている生徒さんは、声楽のアカデミックな用語をかなりご存じでいること、また自身の声について、課題と改善を明確に言語化できているのが印象的でした。
「響きを高く」「落とさない」、これは先生が繰り返しおっしゃっていた言葉です。とにかく生徒一人一人がより良い発声を目指しているし、その意識が徹底されていることが、なによりも素晴らしいと思いました。2日間の見学を通して、「より良い発声を追究し、声を使いこなすことが部員の仕事」、「より良い声と音楽を導き、モチベーションや心を支えることが先生の仕事」、それぞれが良い仕事をしたいと高みを目指している、そんな会社のようにも感じました。
 
僕にとって、今回訪問させていただいた高校さんは、特別な思いがある高校さんでした。高校生の時から、今に至るまで、18年くらい、ずっと頭にあり、録音や映像で拝見していました。高校の頃は、電車で40分くらいかけて通学していたのですが、MD、それからMP3プレーヤーなるものが流行っておりまして、合唱曲だけのMDや、MP3プレーヤーのリストを作って、その高校さんの演奏を、毎日、何回も何回も繰り返し聴いていました。
「やっぱり生は違う」。そんな当たり前のことですが、言葉では足りないほどの大きな感動がありました。思い出補正もあったのかもしれませんが、音楽室に響いていた音楽は、決してコンクールのための音楽でない、誰かの心に届けるための音楽だと感じましたし、大きな愛のある音楽でした。
 
さて、部活動の始めから終わりまでの流れについても、勉強になるものがありました。体操は無く、早速に➀発声が始まり、➁パート練からの➂全体練、コンクール間近ということもあってか➃録音通しからの➄返し練、⑥事務連絡等を済ませたら、最後は⑦自主練時間があって解散というものでした。
個人的な注目は、体操が無いことと、最後に自主練時間が予め組み込まれていることでした。体操は、多くの学校で形骸化しやすく、また運動部の筋トレや、体育の授業の準備運動をそのまま持ってきているような学校もあるため、生徒の中で、体操をやることと歌が上手くなることとがどのように関係しているのかを実感しづらいという点で、取り扱いが難しい活動だと感じています。その点で、どんな体操をしているのかな、と気になってはいたのですが、まさか、無かったので、「合理的!」と僕の中ですっと理解ができました。別に、体操があろうがなかろうが、ちゃんと中身の濃い活動していればいいんだ、というように捉えました。
最後の自主練の時間は、きっと、その日の学びを自分の力で整理したり、発展させるために設けられていたんだと、推測しています。そう考えると教育学的にはとても合理的です(学びの定着)。「今日もやりきった!終わった~」ではなく、「今日言われたことを整理して帰ろう 分かんなかったら先輩や先生もいるから聞いて、分かるように/できるようになってから帰ろう」、そうしてまた次の部活の前に自分一人で復習して、発声➡パート練➡全体練をして、また一人で整理、発展させる・・・こうしたサイクルは、非常に勉強になりました。大学生でこれをやろうとすると、「活動終わったからかーえろっ」となってしまうような気もしますが、よびごえのみなさん、後期の活動から試してみるのはどうですか…?
 
自主練の時間が終わっても、先生に質問をしていたり、次の部活に向けて打合せをする姿もあったり、音楽室が閉まっても、廊下でその日の指摘事項を一緒に声を出しながら確認していたり……、ずっとどこかで歌声が聴こえ、真剣さと穏やかさの入り交じった空間でした。
 
ここに書ききれないのは、あの、圧倒的な「響き」でしょう。
練習を見させていただきながら、春こんの時に、ほぼ毎年僕が「いま何割ぐらいで歌ってる?8割か9割にして」と言っていることを思い出していました。「ここは音量記号はピアノだけど、和音を鳴らさなきゃ」「もっとしっかり出して」と先生がおっしゃっていたことも、「そうなんだよな、息が流れて声量がある程度ないと、和音って鳴らないんだよな」と、共感していました。完全音程をしっかり決めたり、子音や母音のトーンをそろえることで和音が鳴る土台(準備)ができていれば、あとは声が正しいポジションに入れば、和音は一気に鳴り始めます。それが曲のエネルギー(legato)と重なると「音圧」という、ビリビリ、というものを体感できるまでに空気が鳴り始めます。よびごえのみなさんも、「音圧」のある合唱を、毎年春こんでは経験できていると思いますが、「もっとできる」、そう思いました。少人数でも鳴らすことはできるので、ここは僕の宿題でもありますし、みなさんと一緒に、もっと合唱の可能性を探してみたいポイントでもあると思いました。
 
 
 
ここで私たちが一緒に考えたいのは、「教師に求められる力とは何か」、ということです。
今回は、先生ご自身が声楽についての高度な知識・技能をお持ちでいらっしゃり、男声女声問わず、「人体の構造」という共通点から、発声をご指導されていました。僕個人の経験として、声楽は極論、男女問わず「身体をあけて息を流すだけだ」と習ったこともありますが、細かいことはさておき、つまりはそういうことなんだと思います。息の方向や、頭の中での母音のポジションのイメージを間違えると、声は平べったくなり、響きもきつくなりますが、十分に息を吸い、吸った通りの道を通って息が流れ出て、その道沿いに母音を置き、目の方向へ、それから前へと、どんどん息と母音が流れていけば、声は柔らかく、頭蓋骨全体がまろやかに響きますし、それは男声も女声も違うことはありません。そんなことを、ものすごくシンプルに、実演とともに要点をおさえてご説明されている先生のお姿から学ぶことはものすごく大きかったです。
こうして書くのは簡単ですが、これについて、それができるようになるまでにどういった困難さが起こりやすいのか、ということを予測して、それら1つ1つへの対処法をカードとして持っていくことが、まずは教師の力と言えますね。例えば、「なかなか声が前に出ないとき」「声のポジションが低くこもっているとき」「あごや舌の力が抜けないとき」「高音における息のスピードが遅いとき」「一番低いバスの低音が散ってまとまらないとき」にどんな手立てをもって関われるか、みなさんだったらどう指導するでしょう(これらはこの2日間で実際に相談を受けたものでした)。短時間で解決できるようなものはさくっと直してしまうのがベストですが、なかには筋力が必要なものや、感覚の洗練が必要なためにどうしても時間がかかるものもあります。その場合は、できるようになるまで介入し続ける必要があります。重要なこととして、小学生だとしても、高校生だとしても、声に関わる以上、健康に問題を起こしてはいけません。「声とその学びに関する正しい知識と判断力」が、教師には求められています。
教師の力は、そうした声に関する知識や技能だけではなく、作品の解釈やそれを伝える指導力、また生徒の目線で相談しやすく、受け止めてくれるような包容力もあるのではないかと思います。知識や技能を超えて、人間性までをも言い始めると、人それぞれという議論に陥りやすいですが、しかし、結局は、人となりこそがその場の雰囲気のベースとなることは否定できないのではないでしょうか。加えて、知識や技能に基づく的確な指導と、コンクール等における外部評価も総合して、教師と生徒との間に確かな信頼が構築されていくのではないかと思います。このような人となりや信頼の構築も、教師の力として捉えておきたいです。
 
よびごえのみなさんが、大学生のうちにできることは、まずは「発声に関する確かな知識と技能を学ぶこと」、そして「1曲でも多く、様々な合唱曲をしっかりと勉強・演奏すること」だと思います。それは声楽が専攻であるかどうかを抜きにして考える必要があります。なぜなら、これからみなさんが未来に出会うであろう児童・生徒からすると、みなさんが何専攻だろうが関係ないからです。先生は先生なのです。
 
最後になりますが、この日誌を書いている僕が、いま強く感じていることは「責任」です。冗談でなく、いつかこの先、「昔の人は部活で合唱やってたらしいよ」という時代がやってくるのではないかと危惧しています。そもそもの日本国の人口減少問題もありますが、おそらくコロナや部活動の地域移行の影響を大きく受けた合唱人口の減少があり、1980年代ごろから今日に至るまで、合唱界は、大規模から中規模、小規模へと、どんどん縮小してきた歩みがあります。コンクールの是非が議論としてあるのはいったん横に置いたとして、コンクールが成り立たないほどに日本国における合唱分野の縮小が起きたとき、そのあとは急速に合唱分野はかつての活気を失っていくことになろうと思います。そんな未来が来ないと良いなと思いますが、30年後(2054年)、というリアルな数字もざっくりと頭には浮かんでいます(よびごえのメンバーは、まだ現役で働いているはずですね)。
そこで考えなければいけないのは、「合唱は生徒の何を育てていたのか」という、合唱の教育としての価値(意義)なのだと思います。合唱という活動の価値を整理し、説明・説得できなければ、守る必要のない活動になるため、社会の流れに従って、自然消滅することになるでしょう。
今回訪問をお許しくださった高校の生徒さんを見ると、合唱をしたからこそ開発された知識や技能、態度は、非常に多くあったのではないかと考えています。それが、将来どのように活かされ、接続されるのかということはいったん横に置いて考えるのが良いと思いますが(なぜなら来るべき将来で求められる力は常に変化しているから)、「合唱を通して何が育ったのか」、この問いを持ちながら、今日の見学を振り返ってもらった時、みなさんの頭には何が思い浮かぶのでしょうか。またぜひ教えてください。 東京学芸大学で学んだみなさんが、これからの日本国の合唱と教育の最先端に立ち、全国の児童・生徒と、価値ある合唱活動をしていってほしい、そうしたみなさんの学びを支え、応援することが僕の仕事ですし、責任でもあると思っています。これは、とてもとても重い仕事ですが、これからの日本国の合唱と教育を考えたときに、ものすごく大切な仕事だと思っています。
そんなことを言いつつも、どうか引き続き、気を張らずにのびのびと合唱と教育を学んでいってもらえればと思いますが、「合唱を通して人を育てること」を、みなさんとの実践を通して、もっと一緒に考えていけると嬉しいなと思っています。
 
今日一日、本当にお疲れさまでした。
また後期に元気にお会いしましょう! 小田直弥…
28
June
2024

【2024】よびごえ日誌 vol.4

こんにちは。2年の室伏です。
よびごえ日誌を書くのは約1年ぶりとなってしまいました。(すみません…そして時の流れおそろしい…)今日は発声について最近考えていることをお話ししようと思います。
 
―みなさんは声楽と合唱、発声を使い分けますか?
私の場合、高校の頃「使い分けないと声質揃わないよ!」大学1年「使い分けないと…いや、気にしなくてもいいのか???わからない、、誰か助けて、、」現在「使い分けない。」と答えるでしょう。笑
声質を合わせようとし、自分の本来持っている声を抑えて歌う演奏の場合、歌っている側は閉塞感を感じ、出てくる音楽も表面的でつまらない演奏になってしまいます。合唱はもっと自由に表現してよいはず。声を“揃える”のではなく“ブレンド”することへイメージを変えると個人的に腑に落ちたような感覚になりました。個々がいい発声で自由に歌う方が体の支えがしっかりし、よくハモって一つに聴こえることがあるのも合唱の面白いところだな、と思います。
おそらくこれから新たな発想が出たり壁にぶつかったりすると思いますが、以上を今の私の回答とさせていただきます。
 
声帯がうまく合わない感じに調子が悪かったのですが、鼻から吸ってハミングをする。息の通り道をこれ以上なく感じることで声の鳴りが格段に良くなりました。私の友達も不調だったのですがハミングをおすすめしたらコロッとよくなったそうなので、これから私はハミング信者として生きていきます。
  
📝メモ📝―ブレスを鼻からすることのメリット―
吸って吐く場所が同じ→脳の処理がしやすい
安定的な響きにするには響く場所も安定して変わらないことが大切→鼻腔が適している(口腔は不安定)
より響かせるために鼻腔を広げたかったら、鼻から息を吸う必要がある(意識しないと広げられないから)※鼻と肺は
ノイズが出るとき→鼻の内側が狭い、鼻腔も狭くなる×
ノイズが出ない→鼻の内側が広い、鼻腔も広げやすい◎ 例:いい香りを吸うようなブレス
 
今年は自分の気づき、小さな感動を沢山日誌に残せるといいなと思います。お読みいただきありがとうございました。 室伏萌衣…
02
November
2022

【2022】よびごえ日誌 スタコン練習編02

こんにちは、A類3年原田綾乃です。今日はスタコン本番に向けた練習でした。
白日、Salve Reginaを練習しましたが、前回に引き続き発声についての内容が多かったように思います。
 
〇白日
ピアノ1/4開 アルトが低くなる場所など他パート音量注意
冒頭ときにはの「き」i母音すぐ鳴らす(息のスピード速く)
同じ音が続いたときの音程高めに
i→aなど、閉口母音から開口母音に移るとき浅くならないよう注意
発声の基本は合唱で、リズムや子音でポップス感を出す
 
〇Salve Regina
子音(語尾、語中)はっきり
5小節目アルトC高めに(C durの根音のようなイメージ) 2度ぶつける
アルト低音はペットボイス(胸に響かせる)を使って
ブレス早めに 3-5秒くらい前に!
 
母音については、チェックポイントを決めて、どこで浅くなりがちなのか、どこで息のスピードが必要なのかといったことを知ったうえで歌うのが大事だと思いました。個人的に、録音などを注意深く聴かないと自分の母音の深さには敏感になれないように感じているので、気を付けたいです。
ペットボイスについては、準備して単体で出すことはできても頭声との使い分けをするのが以前から個人的に課題だと思っていたので、うまくできるようになりたいと思いました。
 
また、今日の稽古では、小田さんが具体的な体の使い方を言葉で説明してくださっているのが印象的でした。
私自身は発声やブレスなどの体の使い方を習得するのにとても時間がかかるタイプなので、最終的には何回も回数をこなすことも必要ですが、頭で理解しているだけでも定着までのスピードや練習の効率は違うと思うので、言語化することも忘れずにいたいです。
指導者側の立場としても、夏休みの実習を経て、範唱で示すのはもちろん、言語化して伝わる指示や発問をすることの重要性を感じたため、体の使い方やイメージの共有の仕方など、伝わる表現を探していきたいです。
 
 
春学期から長く歌っている曲ですが、歌うたびに新しい学びが得られて、着眼点次第でいくらでも練習を広げられるのだなあ、と思います。
合唱祭で披露できなかったものの、ポップスと合唱それぞれのよさについて、宗教曲の解釈について、混声3部合唱についてなど、様々な視点からよびごえらしい演奏をできるようにたくさん考えを深めてきた曲なので、スタコン本番でもよびごえらしい表現をしたいと思います。ありがたいことに秋冬でたくさんの本番があって、抱えている曲もどんどん増えてしまっていますが、よびごえの稽古に来ると、「考えて歌う」ということの面白さについて改めて感じられます。どんな曲も自分なりに解釈して、表現を考えることを止めないでいたいと思います。頑張ります!
 
次回の日誌もお楽しみに! 原田…
23
October
2022

【2022】よびごえ日誌 スタコン練習編01

最近は、急に冷え込んできましたね…!マフラーやセーターを出した方も多いようで、冬が迫ってきていることを感じるこの頃です。
さて、今回は、11月に行われる秋の音楽科スターダムコンサート2022、通称スタコンに向けての練習を行いました。曲は、合唱祭で歌うことが叶わなかった、白日とSalve Reginaの2曲。前回の稽古では、同じ曲でも、発表の場が違えば歌い方や見せ方も同じではないのでは?なんて意見が出て、とても納得させられました。ちなみに、結果として、曲順が合唱祭で予定していたものとは逆になっています。今回の稽古では、発声についてのお話がメインだったかと思います。今回の稽古については、振り返りを皆さんに書いてもらいましたので、以下にまとめて掲載します。
 
稲村さん
白日では、時間をかけてたっぷりブレスを取ることを意識しました。器楽のレッスンでも最近は呼吸が課題なので、大学で学んだことと結びつけながら試行錯誤してみようと思いました。
Salve Reginaは、最大音量を1音1音に乗せ繋げることで、太い流れが見えるような見えないようなという感じに終わりました。ペットヴォイスの仕組みについても少し教わり、ソプラノとアルトの発声の違いについてはじめの一歩を知ることができておもしろかったです。
次に合わせたときに、3年生からの「わー(すごい)」を引き出せるように練習に励みたいです。
 
新喜さん
今回小田さんからアルトパートに向けて胸を使った発声についてのお話がありましたが、その時合唱に様々な声部がある理由を考えました。アルトは身体の重心の方に響かせるイメージを持つけど、ソプラノはそれをしてはいけなくてひたすら高い位置をイメージするという話をお聞きして、そうすることでアルトとソプラノの違いを出すことができ、立体感のある演奏になるのだと個人的に腑に落ちた点があります。たしかに、合唱の声部はその人の音域で分けることになると思いますが、それだけでなくそのパートを最大限に活かす歌い方があることが新たな発見でした。ただ高い低いの概念ではなく、声の質により注目して練習に励もうと思います。
 
萩原さん
《発声》
・始めは一言一言アクセントで歌う。(点と点)
・アクセントとは、クレッシェンドの最速バージョン。
・音量が最大(山?)になったところから常にその音量をキープして歌う。(点どうしを繋げて線に)そこで初めて息がどのくらい足りないのか体感→歌い切れる息の量を考えてもう一度。
・低声の発声の仕方として4パターン
①溝落ちが前後に動く+肋開かない
②‥ が動かない+肋開かない
③鎖骨(肩)が上下に動く+肋開く
④‥ が動かない+肋開く
・④を『ペットボイス』という
↑↑アルトは実践。ソプラノは声が重くなる(?)からNG
 
最後に私(一柳)も少し書かせていただきます。
今回の稽古では、普段歌では感覚ですまされがちな、発声のメカニズムについてのお話がありました。高い音は頭声、低い音は胸声を使うとよく響くこと、胸声の際は胸に響くので、胸に空間が必要なことなどを学びました。その際に出たのが、体格の話。もともと胸の部分の空間が広い方は、低い音が響きやすい傾向にあるということ。触れにくい部分ではありますが、歌は、生まれもった身体や声帯が非常に重要な役割を果たす演奏活動です。自分の力ではどうしようもない部分もあるのかもしれません。学校現場でも、中学校などでは特に、常に考えなくてはならない部分だと思います。でも、それぞれ違う個性のある声で、一つのものをつくる合唱という活動は、面白いな、と改めて感じました。
 
スタコンも春こんもで忙しいですが、寒さに負けず頑張りましょう!
今回はこのへんで。お読み下さりありがとうございました。次回もお楽しみに! 稲村、新喜、萩原、一柳…
15
February
2022

保護中: 【2021】よびごえ日誌 メッセージ(原田)

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18
November
2021

【2021】よびごえ日誌 春こん編 vol.3

はじめまして!A類音楽選修2年の原田綾乃です。
 
夏からよびごえの活動に参加させていただいております。
初日誌、よろしくお願いします…!
 
まず発声練習では、ポジションが変わる音域をハミングで滑らかに歌う練習、「マリア」で母音間での響きを均す練習をしました。稽古でも小田さんから口腔内の体積、響かせる位置を意識するというお話があったので、滑らかな発音や響きを目指して練習したいと思いました。
 
春こん。に向けた4回目の稽古では、マザーグースの3曲目の音取りを終わらせたあと、3曲の合わせをしました。以下、稽古内容です。
 
○3曲目
・全員 p.14 2段目頭 F durきめる
・A1 p.16 2小節目 Eのピッチ
・A1.2 2段目最後の半音階正確に
 
○2曲目
・全員 p.8 thoughtの和声きめる
・全員 p.10 2小節目頭のbitの和声 S1ピッチ高め
・全員 p.12 半音階正確に
 
○1曲目(p.5)
・S2 Why did it〜 ピッチ安定させる
・A1.2 Because bit my finger so…
26
August
2021

【2021】よびごえ日誌 夏休み勉強会編①


よびごえでは、夏休みの間に計4回の勉強会が計画されており(ありがとうございます)、今日はその一回目で、発声練習について考えました。
 
各自が今までに経験したことのある発声練習を挙げ、その教育的ねらいはなんだったのか(何の能力が育つことが目的か)、また、そのねらいはどのようなカテゴリーに分けられるか(響き、母音、など)、ということをグループごとに考えました。自分でねらいを考えてもよくわからなかった発声練習も、他の人と話して考えつつまとめていって、グループでまとめたものを最後に全体で共有しました。
 
それぞれの発声練習について細かく書くことは割愛しますが、振り返り等ででてきたいくつかの視点について、以下書いてみます。
 
・発声練習の音程、子音、母音、動きの意味。
・年齢のちがいも考慮する必要がある。
(例えば、私が紹介した発声練習は既存の曲を使うものが多かったのですが、それは小学生の時に体験したものであり、飽きずに楽しく取り組むためにそのように構成されていたのではないかと思います。)
・ねらいを伝えるか伝えないか
メタ認知など、発達的な側面や、先生がどれくらい子どもたちと関わる時間があるか、自主性やモチベーションの状態にもよる。注意するときにはずさない(できていないときに止め忘れない)ことで、ねらいを伝えるということや、体で変わっていくのを認知するという考え方もできる。
・コンビネーションについて 
発声練習の時間をどう構成し、曲の練習やパート練習につなげるか。取り組みやすいものと応用的なものの段階。
 
 
以上、振り返りでした。
 
発声練習について考えていて思い出しましたが、私の小学校の合唱団は、フロッピーディスクに発声練習に使う曲が入っていて、それを電子オルガンに入れて使っていました。音を上げたり、速度を速くしたりするのもその電子オルガンでできて、毎日取り組む型として共通認識ができていて、もし先生がいなくてもできる状態になっていました。
 
今日のワークを通して、発声練習を選択するには、前提として(または同時に)、どういう声で歌いたいか、どういう合唱をしたいかについて、方向性があることが必要だと思いました。そのうえで、効率性、分かりやすさ、楽しさなどの点で、対象年齢や発達についても考慮しつつ、工夫することが可能なのだと分かりました。
 

 
Zoomではあるものの、久しぶりによびごえの学びの場に参加できて、楽しかったです~!
 
次回は、伊藤さんにお願いします! 佐藤…
14
January
2021

保護中: 【2020】よびごえ日誌

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10
December
2020

【2020】よびごえ日誌

皆さんこんにちは。A類音楽3年の伊藤真緒が担当します。
約5か月ぶりのよびごえ日誌です!
よびごえは長らくオンラインのみで活動を行っていたのですが、遂に12月から対面での練習が再開されました。感染への不安はまだまだ続く状況ですが、各自対策に取り組みながら春こんに向けて頑張りたいと思います。
 
ではさっそく、2回目の稽古の内容を書き留めていきます。
 
◆発声練習
オープニングは、発声練習から始まります。私は、自分以外の人と歌うという機会がよびごえにしかないので、1番声だけに集中できるこの時間はとても貴重です。
最近の発声練習でよく指摘されるポイントとして、「高さが変わっても母音のポジションを変えないこと」「音が高くなるほど息のスピードは速くなる」の2つが挙がります。歌や合唱を練習するときに考えることは沢山ありますが、他のことは一旦無視して1つのことのみに意識を集中する練習も有効な方法だと思いました。ある程度の時間強く意識して行うと、その後に別のことをやっていてもさっきのことは無意識にできるようになっているらしいです。確かに!今日も発声で集中してできたことは、曲中でも自然にできていたと思います。次の練習でも同じことをできるようにしたいですね。
 
◆1曲目「Ave maris stella」DUBRA,Rihards作曲
春こんで歌う1曲目です。今日は通しで歌うところまでいき、曲の全体像を捉えることができました。和音が決まらないと話にならないこの曲、そこが難しくも面白いところかなと感じています。私は特に、随所で発揮される7度のエネルギーをぶつけるところが良いなぁと思いました。アルトは人数が多いのに何故かブレスの場所が被るという以心伝心っぷりで、カンニングブレスを毎回相談し直しています(小声)。
 
換気ついでに、小田さんがキリスト教についてお話して下さいました。というのも、よびごえで宗教曲を扱うのは初めて(?)で、基本的な知識がほとんど無い!(多分私が知らないだけかもしれない。)
Ave maris stellaで称える聖母マリアは人間のカーストでいうトップで、もうめちゃくちゃに手の届かない存在であるという話、人は死んだら天国・煉獄・地獄にいく話、地獄にも階層(第9圏が最も極悪)がある話など、本当に入り口のところを学びました。第9圏にいくような人はどんなことをしたのか気になりますね。練習が終わった後に、団員数名でダンテの『神曲』をパラパラーっと見ましたが、「積読になりそうだ」という話になりました。
キリスト教について新しいことを吸収しても、そこで終わりにせず、音楽につなげるということを忘れずにいたいです。
 

 
◆2曲目「前へ」佐藤賢太郎 作曲
春こんで歌う2曲目です。
このよびごえ日誌を書きながら録音を聴いていますが、客観的に聴くことで課題をより明確に突きつけられている気がします。今日重点的に練習した跳躍の部分もそうですが、シンプルそうで難しい。いやシンプルだから難しい(?)。
知名度も高く、コンクールでやるのはなかなか厳しいと分かっていながらも挑戦するこの曲。ありきたりな言葉だけれど、やっぱり、聴いてる人の心に響くような音楽に仕上げたいです。といってもまだまだ土台が(;_;)まずは今年中に和音やバランスを文句なしと言われるまで持っていきたいです。
 
練習後には、恒例になりつつある写真撮影をしました。
この日は12月10日世界人権デーだったので、「LOVE&PEACE・・・♡」ハートに見えますか?? 
 

 
寒い日が続きますが、皆様お体にお気をつけくださいませ。
次回の日誌は、同期の佐藤さんです。よろしくお願いします! 伊藤…
20
February
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.035

本日のよびごえ日誌は、A類2年アルトパートの伊藤が担当します!寒さの中にも春の足音が聞こえてくる今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。よびごえが出場する春コンもいよいよ来週と迫っており、団員一同日々の練習に励んでいます。
 
まず初めに、発声練習です。今日は時間が無かったのですが、「腕を上下させジャンプしながら『どんぐりころころ』を歌う」というものを佐藤さんが提案してくれました。佐藤さんが小学生の時に「心拍数を一回高いところまで上げると、次にもう一度その心拍数になった時に慣れてキツくない」という話を聞いたらしく、みんなでヒーヒー言いながら「どんぐりころころ」を歌いました。私たちが春コンで歌う「風紋」も「ビンナマ」もそれぞれパワーが必要なので、体力も肺活量もすごく大事です!!
 
さて、本番も近づく今日の練習テーマは、暗譜☆と細かい部分の修正でした。毎回と言っていいほど“暗譜”という敵が纏わりつきます。今回特に「ビンナマ」では動きも入るため、非常に焦っていました。しかし、練習の前にアンプ会をしたり、暇な時にブツブツ唱えたりしていると、自然と覚えるようになっていました。何回も繰り返してとにかく体に染み込ませる人、規則性を見出して論理的に覚える人、楽譜自体をスクリーンショットのように記憶できる人、暗譜の仕方は人それぞれのようです。
 暗譜をしながら思ったことは、未だにアクセントの位置が曖昧であるということです。Bin-nam-maではbinに>がつくところもあれば、namについたり、maについたりします。楽譜を外して歌うとあまり意識せず歌っていたなと気づきました。また、他パートが主旋律の時はそれを意識しているけれど、それ以外の時に他パートが何をやっているか気に留めていなかったなと思いました。二曲目は立ち位置がソプラノの隣なので、もし暗譜が飛んだりしても混乱しないように、普段から自分以外に耳を傾ける余裕も大切にします。
 
 また、「風紋」でも「ビンナマ」でも子音が多いところで声が前のほうに出てきてしまうので、それを修正しました。摩擦音を出すために狭くした口を一瞬で開けるのを、無意識でやるのは難しいです。しっかり開ける、顎を下げる、と考えながら歌うことが必要です。詰めの時期になっても、発声や体の使い方は絶対に基本となるので、時々確認する機会は大事にしたいです。
 

 
写真は練習後のミーティングの様子です!
春コンまで残りわずかですが、限られた時間を有効に、よびごえらしく、楽しく、最後まで磨いていきます。
P.S.出番は3/1(日)浜離宮朝日ホール11:08頃の予定です。私たちの合唱を、ぜひ多くの人に聴いて頂けると嬉しいです(*^^*)!!!
 
次回のよびごえ日誌は、は私と同じ二年生でアルトパートの中島さんにお願いしたいと思います!♡ 伊藤…
13
February
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.034

こんにちは!1年ソプラノパートの伊野綾那です。
今日は秋学期の授業最終日。ようやく春休み突入ということで、大学がいつもより静かな気がしました。しかし、練習室のある音楽棟4階はいつもと変わらず、活気に溢れていました!それもそのはず、試験が終われば次の曲が待っていますからね!今、私も新しい曲の譜読みに取り掛かっているところです。休みだからといって気を抜かず、こつこつ練習していきたいと思います。
 
 さて、今回の練習はかのんさんが発声練習を担当して下さいました。最初の体ほぐしでは、前屈をした状態で脚の後ろ側全体を伸ばしたり、しばらく小刻みに揺れて脱力してから止まり、体の軸を感じたりしました。止まった時に何とも言えないふらふら感があり、体が安定する場所を自然に見つけていく感覚を味わうことができました。次に、風紋を意識したクレッシェンド、デクレッシェンドの練習をしました。強弱の幅を全体で統一するため、隣の人の声に耳を傾けながら歌ってみると、自分は思ったより声を押しすぎていて、発声が乱れていることに気づきました。今度は先程とは逆に、デクレッシェンド、クレッシェンドの順での練習です。これは思ったより難しく、多くの人が苦戦しているようでした。音が3度上がったときに弱くなっても、声に芯を残し、かつ強弱の差もしっかり出す、というのが難点でした。しかし、このような地道な練習の積み重ねが、曲の中で使える表現を増やす近道なのかもしれません。
 
 今回の稽古は、細かい確認をしてから通しを行いました。風紋では、ソプラノとアルトの4度、5度、8度の響きを決めるということに焦点を当てていきました。冒頭の女声はユニゾンから始まり、ソプラノの音が高くなることで偶数小節が3度、4度、5度と徐々に音程が広くなっていきます。ただ音楽の流れにのって音程に関して無意識で歌っていては、4度と5度はなかなか決まりません。そこで、音が高くなるにつれて息のスピードを速くし、発した瞬間に音を当てる練習をしました。その際、「来る」「貝」のKの子音で息が遮断してしまうが流れを止めないこと、ポジションは後ろ、息の量は少なく一点に集中させることが課題となりました。テンポが速い曲の中でも音を確実に当てることができるよう、体の準備の仕方、タイミングなどを染みこませていきたいです。
 
 BIN-NAM-MAは、表現一つ一つの違いを明確に、そしてよりシャープな音をつくる、というのが今回のテーマでした。テノールとバスがずれてクレッシェンド、デクレッシェンドする複雑性、クレッシェンドしては音量をがっと落としてまたクレッシェンドする再現性など、この曲には恐怖や不気味さを感じさせる細かい表現がぎっしりと詰まっています。お客さんに気持ち悪いと感じて(楽しんで)もらうためには、その一つ一つを極端に明確に表現しなければなりません。そして、子音の入れ方、ロングトーン、体を叩く音、地面を踏み鳴らす音すらもシャープな音を目指します。いつもはホールの響きが私たちを助けてくれますが、今回ばかりは、シャープな私たちの表現を邪魔してきそうです。柔らかい響きに飲み込まれない鋭さを、これからもっと突き詰めていきます。
 
お客さんの目にBIN-NAM-MAがどう映るか気になるところですが、忘れてはいけないのがインディアンとベネズエラの大洪水で犠牲になられた方々の目です。自分の肉体と痛みを捧げ、自然の平安を願ったインディアンのダンス。災害の絶望から立ち直っていく人々の姿。思いを馳せるにはあまりにも遠い存在ではありますが、この曲を通して知ることのできた人々の心情を少しでも体恤し、音楽を作り上げていきたいです。
 
少々重くなってしまいました。最後は井出さんを明るく送り出して締めましょう!
教育実習頑張ってください!私たちも、本番までまだまだグレードアップしていきます!
 

  伊野…
10
February
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.033

こんにちは、3年の國元美乃里です。秋学期は今週で終了ということで、テストや試験が佳境を迎えており、学芸大学は非常に盛り上がっております。と同時に3年生の名乗ることができるのも残りわずかとなり、ついこの前大学に入ったばかりなのになあと、時の流れの速さに驚いております。
 
 練習は、ななせちゃんの発声から始まります。ハミングで8拍間、2拍ずつのクレッシェンドデクレッシェンドを繰り返します。最初はどのくらいの音量で、最高音量はどの程度で、と計画的にやらないと、2拍はあっという間に流れてしまいます。次は、『カケキコクコキケカケキコク』(あってる?)を音階で歌っていきます。カ行は意識して発音しないとうまく当たらなかったり、母音の違いで響きの違いも分かりやすいため、合わせるのがとても難しいです。今回の発声メニューは初めて取り組むものも多く、きっとななせちゃんが、どうやったら風紋やビンナマにつなげられるのかと試行錯誤を重ねて、毎週持ってきてくれているのだと思います。ありがとうございます。
 
 頭を使って机やいすをコンパクトに並べ替え、できる限り本番のステージの広さを確保します。いつも通り、まず初めは風紋の通しから始まります。私たちの強みは何と言ってもこの人数。しかもそのほとんどが、声を出すことをお得意とする声楽専攻で、他団体に負けない音量を出すことができます。その強みを生かし、風紋ではビル風のような、強烈で圧倒的な風を吹かせ、それに匹敵する大きな愛を表現したいと思います。
 
 この練習の前に何人かでビンナマの暗譜稽古を行ったのですが、同じような音形、同じような言葉が繰り返され、微妙に変化していくこの曲を暗譜するには、規則性を見出すことが一番の近道であると感じました。中学の頃から、テストに出る何の関連性もない用語たちを、勝手に意味づけして記憶していくことが得意だった私(テストは全部それで乗り切っていた)。とっとと暗譜するんだ!!!ということで、話がずれましたが、ビンナマではまず、Pの表現の仕方を考えます。ただ小さい音で歌えばいいという話ではありません。音色を柔らかくする、その前の音を強く固く歌い相対的にPに聞こえさせる、息を混ぜる、など音量以外のアプローチはいろいろ考えられます。次に課題にあがったのが、M⤴の歌い方です。この場面では不満を表現したいのですが、言葉ではないこの音でこの世界の異質さを表現しなければなりません。いまはまだ、個人個人のイメージや方法が統一できておらず、まとまっていない状態なので、早急な課題として取り組んでいきたいと思います。ビンナマは何となく、歌っているときの頭の中や声はそれっぽくなってきたのですが、身体が追い付いていないという感じがしています。身体は意識しないと動きません。どこかに冷静な視点はもちつつ、呪術的かつ神秘的かつ幻想的な踊りで観客の皆さんを感動させることができたらと思います。
 

 
 つぎの日誌は同じソプラノパート1年生のやあなちゃんにお願いしたいと思います。とっとと暗譜します!!!
  國元…
03
February
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.031

こんにちは。佐藤花音です。
寒いですね。中学、高校、大学受験シーズンですね。受験生が落ちついて力を出しきれることを心から祈っています。
大学内も試験、試験、試験と毎日追われています…がんばります…
 
今日は発声の時にテヌートとアクセントの歌い分けについて考えました。二人組で行い、片方の人が歌った後2人で振り返りをします。発声を進めてくれたななせさんの指示で、まず歌い終わった人が、違いを表現するために変えたことを言った後に、聞いていた人が感じたことを言いました。ただ聞いていた人が感じたことを言うだけよりも、まず歌った人が振り返ることから始める方が、深く考えられるなぁ、と思いました。表現について、意見を聞くというより、自分の感覚や判断基準について、意見を聞く感じになるからかなと思います。先日教育法の授業でこれに関連する内容を聞いたのを思い出しました。授業で学んだことを実践の中で捉え直すことで学びが深まるのは楽しいです。
 
風紋は今まで部分部分で練習していたところのつなぎを確認し、その後に通しました。その際録音をして改善点を出しました。子音のタイミングや強さ、フレーズの終わり、リズムの出し方などについて言及があり、それらについて確認した後に、もう一度通しました。
風紋は息継ぎのタイミングが難しいのもあり後半になるとだんだん疲れてきます。疲れてきたときに自分の歌い方がどう変化するか知り、計算して歌うよう、また、一度に全部はできなくていいから1つずつうまくなっていってと、お話がありました。
 
ビンナマはいままでよりも細かく表現の仕方について練習しました。強弱、動き、アクセント、スタッカート、テヌート、どんな声質で歌うか、などの点について、数小節ずつ丁寧につくっていきました。考えることが盛りだくさんで、練習時間があっというまに過ぎていきます。野性的・非日常的な表現をめざす部分がありますが、このような世界観の曲は今まであまり出会ったことがなくて新鮮です!最後に前半と後半に分けて、通しました。分けてであっても、通したのは今日が初めてでした。通してみて改めて感じたのは、場面の変化・音楽の変化がめまぐるしい曲だということです。気持ちと思考と感覚がきちんと伴っていけるよう、1つずつ頭と体に浸透させていきたいです。
 

 
次回は井出さんにお願いします! 佐藤…
16
January
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.030

こんにちは!今回のよびごえ日誌はA類1年アルトパートの堀切彩愛が担当します。
今日の練習はまずストレッチから始まりました。1人で首回し等をした後、2人組で背中合わせになって、手首を持って前に倒れて引っ張り合うストレッチをしました。普段あまり伸ばせないところも伸ばせた感じがしてとても気持ち良よく、組体操みたいで楽しかったです!
その後に発声練習をしました。ドレミレドの音形で、ハミングやka,ア母音で最初だけkの子音を付ける等段階を追って練習しました。今回の練習では、「空間で音をまとめるとはどんなことか」をテーマに、指揮者がいるあたりに声を集めるポイントを設定したり、空間全体を意識したりしながら、息のスピードや子音にかける時間を調整しました。本番のホールでの聞こえ方を意識しながら練習することが大切だと感じました。
 
今日の稽古では、BIN-NAM-MAをメインに練習しました。パート内や全体で決めておくべき約束事を話し合って解決していきます。1つ目に話し合ったのは、アルトに出てくるウィスパーボイスでのテヌートの付け方です。滑らかなクレッシェンドディクレッシェンドではなく、テヌートの部分で止まった時間を作る,gの子音を長めにとる等の結論になりました。次はソプラノのウィスパーボイスの部分で、楽譜の表記が3度高くなっている箇所をどう表現するかということです。音の高さは喉を締めることで表現できるという結論になりました。次に、途中に出てくる体全体を使ったリズムパターンをどう表現するかという話し合いになり、何かしらの動作を楽譜通りすることは決まりましたが、細かいことは保留になりました。またHに出てくる矢印付きのOMは有声にすることを確認しました。さらに、バツ印の付いたmaはかわいく唇の破裂音が聞こえるような歌い方にすることも確認しました。その後、楽譜の細かい所を確認していきます。「不満げに」という指示をどう技術的に還元していくのか個人で試してみたり、テヌートや細かいクレッシェンド,ディクレッシェンドを的確に表現できるよう練習したりしました。P.9にあるクレッシェンドからのフォルテ、その後のスビトピアノの流れについては特に重要で何度も練習しました。私は今までこの曲の振りや音を一通り通り歌うことに気を取られ、細かい所にまで目を向けられていなかったことをとても反省した稽古だったのですが、細かい表現は全員で共有して的確に表現していけると良いなと思いました。
最後に小田さんからの宿題として、今は日本人っぽく歌いすぎているので、舌根を落としたようなkumの言い方と南米の人の感情表現,南米についてを各自研究しようということになりました。本番までもうあまり時間が無いので、自分でも曲の理解をどんどん深めていきたいと思います。
 

次回のよびごえ日誌は谷さんにお願いしたいと思います!
成人された先輩方、おめでとうございます! 堀切…
16
December
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.028

Merry Christmas!!
はじめまして。本⽇の⽇誌は、4年声楽専攻テノールパートの濱野瑞貴が担当します。
 
まず、今回の練習では、発声練習を⼆年⽣の花⾳さんが仕切ってくれました。”ieieioiou”といった⺟⾳唱を⽤いて、いくつかのアイデアを試しました。たとえば、、全員で⼀緒に歌う以外にも、2パートにわかれて輪唱のように追いかけっこをして、先に歌い出したパートの歌い⽅を後を追いかけるパートが真似をして練習しました。その後、パートを交代して歌ったり、もう⼀度全員同じタイミングで歌ったりしながら、⾳を揃えていきました。私のひとまずの感想は「カエルの歌みたいで楽しかった」です。笑もちろん楽しいだけでは、上達は無いのかもしれませんが、楽しんで練習できることはとても重要なことだと感じました。
私事ですが、来年から教員になることが決まっており、どうしたら中⾼⽣が楽しみながら、⾳楽が好き!という気持ちを持ち続けながら、合唱練習に取り組んでいけるのか?と良く考えています。曲を思ったように歌いこなすためには、発声練習も必須ですが、⽣徒に前向きに取り組んでもらうためには、様々な⼯夫が必要だと思います。各々が思いついたことを実験的に取り⼊れたりしながら、いろいろな発声の取り組みができるのもよびごえの魅⼒かな、と思いました。
⼜、”Ma”のシラブルと3度幅の⾳程を使い、crescendoして頂点を迎え、次第にdecrescendoする練習も⾏いました。ここではcrescendo(⼜はdecrescendo)の幅や⼤きく(⼩さく)なっていくタイミングを揃えることを意識しました。ここでは発声練習としての、いわば⾃由な⾳楽表現に繋げるための技術練習ですから、楽譜に書かれている強弱記号とは少し意味合いが変わってくるのかもしれませんが、楽譜を読む際には、何故ここにcrescendoがあるのか、どういった演奏効果を狙って書かれたのかを考える事はとても重要なことだと思います。今、取り組んでいる、「⾵紋」にも強弱記号が沢⼭使われています。強弱記号をただの数値的な記号(fが1だとしたらffが2といったように、、)としてしか捉えられなかったら、演奏は無味乾燥なものになるでしょう。楽譜を読むということは本当に難しいな、、と感じるばかりですが、そのf(フォルテ)は柔らかいf?硬いf?どんな⾊?どんな⾹りがして、どんな気持ちになる??想像したら果てしなくありますが、あと本番まで2ヶ⽉ほど曲と向き合って、私たちらしい演奏ができたら良いなと、思います。やや発声の話から脱線した気もしますが、、笑笑
 
そして、今年最後の練習ということで、前々から⽬標にしていた「BIN-NAM-MA」の通しをしました。本当に通した“だけ”です笑 今回はそれぞれのパート毎に練習する時間をとり、練習の最後には全員で合わせられるようにしました。まだまだこれからです。練習においてこの期⽇までに、これをできるようにする!という⼩さな⽬標はとても⼤事ですよね。とりあえず、年末までの⽬標は達成しました!!ただ、この曲を演奏するにあたり、ただ通せて良かった、みんなで歌えて楽しいといったことの更に先にやる事はたくさんあるのではないか?そのような次元(という⾔い⽅が正しいかは分かりませんが)よりもっと上で、どうやって曲を表現するかを考えていかなければならないのではないか?、、何故なら多くの⼈が亡くなっている背景が曲に込められているのだから。といったことが、練習後のミーティングで団員から挙がりました。この曲はベネズエラで起こった⼤洪⽔をもとにつくられましたが、私が1番に思い出したのは、今年の9⽉に、私の故郷千葉県を襲った台⾵です。幸い私の住んでいる市はあまり⼤した被害ではありませんでしたし、千葉県全体でも死者、負傷者数としてはベネズエラの洪⽔に⽐べれば、軽かった(?)のかも知れません。しかし多くの⼈の⽣活に被害をもたらしたことには変わりなく、⾃然災害の恐ろしさや⾃然を前にした時の⼈間の無⼒さを感じます。練習に疲れても帰る家があることや、スイッチを押せば電気がつくこと、蛇⼝を捻れば⽔がでることすら、当たり前に感じていますが、本当はもっと感謝すべきことなんだな、と、、
 
⽇誌が若⼲シリアス展開になりましたが、当たり前のことを⼤事にして感謝できる⼀年にします。(あ、新年の抱負です。気が早いですが笑)
今回はこの辺で終わりにしたいと思います。次回は1年⽣の今城さんにお願いします。皆さん良いお年をお迎えください!! 濱野  
12
December
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.027

はじめまして。4年声楽専攻の鈴木慧です。
もう12月中旬ですね。冬は私が好きな季節です。空気が冷たく、木々は枯れ、どこか物悲しげな雰囲気がありますが、クリスマスやお正月などの行事があり、気持ちは高揚します。また、寒ければ寒いほど、春への憧れが募る気がしています。冬は風が強くて、自転車が漕ぎづらいので、歩いて生活してみるのもおすすめです。新しい発見があるかもしれません。
 
進路の関係でよびごえをおやすみしていましたが、日誌は読むようにしていて、そこから学び、着想を得て、時には団員の姿を見て元気をもらっていました。いざ自分が書くとなると、とてもわくわくします。
創立当初と比べると、団員も増え、組織としても整ってきたよびごえ。これからも、団としてはもちろん、それぞれが思いを書くこの日誌も続いていくといいなぁと思っています。
 
さて、今回の練習はまず1年生の谷さんが発声練習を担当してくれました。今回取り組む「風紋」という曲には、5度音程で響かせる箇所が多いため、それを中心に彼女の工夫が散りばめられたものでした。低声パートが根音、高声パートが5度音を歌い、ばらばらに並び、響きが混ざるようにする、2.3人のグループをつくり5度音程でクレッシェンド、デクレッシェンドをグループ内で手の動きで示し、体現するというものでした。手の動きで示すという視覚化をすると、わかりやすいです。
グループによっては手の動きが何かの儀式のようでアイスブレイクになった、終始にこやかな発声練習でした。初めて担当してくれた谷さんに拍手です!
 
 続いて「BIN-NAM-MA(ビンナマ)」の練習です。ダンス経験者の松本さんを中心に振り付けの確認をしました。ビンナマは注訳がスペイン語、英語で書かれていて、団員一同大苦戦しています。私も英訳をしましたが、解釈が難しい箇所がありスッキリする答えがなかなか見つかりません。
作曲者はなぜこのような振り付けを入れたのだろう、なにを表しているのだろうと考え、1人に任せるのではなく、それぞれが考え、全員の表現が集まったよびごえオリジナルのビンナマが作り出せればと思います。
また、毎回の練習でここまではやるという小さな目標を設けて、本番という大きな目標を見据えたいものです。そして本番という目標の先には、より大きなものが待ち構えているのだろうと思います。結果も大切ですが、そこに至るまでの過程は、より大切にしていきたいとしみじみと感じています。
次回の練習では音と動きを伴った練習、「風紋」にも取り組みたいです。
松本さん、先導を切ってくれてありがとう!
 
 練習後のミーティングでは、全員が思ったことや感じたことを発言し、お互いに気遣いながらも伸び伸びとしていました。久しぶりに練習に参加した私を快く受け入れてくれた団員たちに感謝しています。
 

 
 春コンまでの練習回数をざっと数えるともうあと1桁です。私がよびごえとして活動できるのもそれまでだと思うと、自然と春コンに対する思い入れが強くなります。今年は難曲ですが、これだけ人数がいれば、それぞれの得意分野を活かし、意見を出し合い、能動的に動くと、今のよびごえにとって難曲ではないかもしれません。はやく曲を楽しみ、作曲者や作詩者の意図を汲めるようにしたいです。個人的な目標は1月頭の練習までに暗譜です。がんばります!
 
次のよびごえ日誌は、歌もピアノも楽器をなんでもできて、笑顔が素敵でみんなのアイドル!スーパーマルチプレイヤー濱野瑞貴にお願いしたいと思います。
 
皆さんお体にお気をつけてお過ごしください。それでは! 鈴木…
02
December
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.026

こんにちは。本日のよびごえ日誌はテノールパート4年の笛木和人がお届けします。
常連の皆様には初めまして。お邪魔します。さあ何を書こうかな。ワクワクしますね。随所に余談を散りばめておきますので、どうか最後まで読んでいってください。
 
まず簡単に私の自己紹介をしておきます。所属はB類音楽専攻声楽科。好きな食べ物はミラノ風ドリアです。よびごえには1年生の頃からお世話になっていますが、その頃のよびごえはまだできたてほやほやでしたから、ホームページに交代で日誌を書くという文化はおろか、団体としての役職や制度などもあやふやでした。その辺りも随分きちんと整えられたものです。小田さんには頭が上がりません。
 
気づけば師走に突入してしまいましたね。教師の卵たちも大忙しです。
何より厄介なのは寒さです。寒いので暖房を効かせますね。すると冷気はどんどん下に溜まるので足下は余計に寒く、暖気はその上を覆うので呼吸すれば喉はカラカラに。歌えやしない。「いい歌はいい空気から」ということで、本日のボイトレは稽古場の空気をかきまわすところからスタート。
 
雨乞いの如く繰り返し腕を上げ下げする団員たち。そして部屋中をうろうろと歩き回る。ついでに(?)発声もする。腕の上下に応じて声量に強弱をつけます。成程、声と身体表現を連動させ声量を可視化することでより自然に息をコントロールでき、無理なく声が流れていきますね。
 
いい感じに暖気と冷気が混ざってきたので、次は隣の人の声を聞く練習。隣の人の声量に合わせて自分のそれも同じくらいに調節します。これを一列に並んでやってみると、強弱の意思がまるでウェーブのように伝わって楽しいです。
 
今回のボイトレで感じた課題は、一人ひとりがもっと幅広い強弱を出せるといいね、ということでした。早い話が、持ち得る強弱の幅が表現力に直結するのです。無論、いくらfと指示が書いてあったとしても、パートとしてのバランスを欠いてしまってはお話になりませんけども。たとえばBIN-NAM-MAにはp,mp,mf,f,ff,fffの6段階に渡る強弱記号が存在します。正確にはpiù forteとpoco più forteを加えた8段階になりますし、さらに厳密にいえば声の強弱はデジタルではなくアナログですから、その間隙を埋める無数の強弱段階が在ることを私たちは知っています。
 
ふと、自分にはどれだけの引き出しがあるのか気になりました。たまには自分の限界を知っておくのもいいかもしれませんね。
 

 
さて本日の稽古はというと、機械的な音取りと演奏指示の確認という緻密な譜読みの一時間でした。
時折ものすごい不協和音が鳴り響いてびっくりしますが、楽譜をよく見るとどうやら合っているらしい。こんな感じで手探りで少しずつ進んでいきます。これがなんだか懐かしい感覚で、えも言われぬ面白さです。普段は接しないような異様な合唱曲に取り組んでいると「あ、よびごえだな」という正体不明の安心感に囚われます。もはや感動すら覚えます。
 
音取りが中心となるとあまり実況向きの内容ではないかと思いきや、一つ興味深い発見があったのでご紹介しましょう。
 
鍵盤ハーモニカ。
 
小学生の頃に触れた覚えがありますか?あれです。ピアノのように鍵盤楽器でありながら、息によって音色をコントロールするという特徴を持つため、歌うような旋律を奏でることができるのです。音取りの際「このように」と言って模倣させるだけなら、ピアノよりも優れていると言っても過言ではないでしょう。すごいでしょう鍵盤ハーモニカ。たまには押入れから引っ張り出してきませんか。シールとか貼ってあったら懐かしい気分に浸れると思いますよ。知りませんけど。
 
いかがでしたでしょうか。とりとめもないことで埋め尽くしたきらいもありますが、これで私のよびごえ日誌は終えようと思います。特に大したことは書いていませんね。それでも実に自分らしい文章が書けたと思います。私はそれだけで満足です。
 
次回は同期の4年生で同門の鈴木慧にお願いしようと思います。これからも朝晩はぐんと冷え込みますから、くれぐれもご自愛くださいね。それでは。 笛木…
01
October
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.017

はじめまして!1B声楽専攻の松本夏実です。
こういった長い文章を書くのは得意ではなく、ずっと「日誌回ってきてほしくないな~」と思っていたのですが、いざ回ってくると書きたいことがたくさん出てきました。なるべく簡潔に書くよう努めます。
 
花音さんの発声練習からスタートしました。まずは肩甲骨をほぐすストレッチ。(私の肩は毎回ゴリゴリと良い音を立てるのですが、これって大丈夫なのでしょうか)
そして、a母音を使って今日の自分の声の確認。私は、自分の身体から声がうまく出て行っていないような気持ち悪さを感じながら歌っていました。
「考えすぎて、みんなから自由が奪われているような気がする」という花音さんの感想から、次は部屋を歩き回り、すれ違った人に会釈するという条件をつけて、同じ音形で歌ってみました。このときの皆さんの笑顔がすごく素敵だったのが印象に残っています。それに伴って良い声が出ていたのではないでしょうか?
 

 
最後は数人が発声練習を聴いて感想を述べる、という活動をしました。その中で最も多く出た意見が「歌っているときはわからないけれど、外に出てみるとみんなの声にばらつきがある」というものでした。それぞれの持つ声の質が違うのは当たり前のことですが、合唱ではそれをタブーとする場合が多いと感じます。少なくとも、私が今まで経験した合唱のほとんどがそのような方針をとっていました。
「肉声ではなく響きの統一を目指すべきではないか」という意見もありました。声が揃えられないのなら…ほかに揃えられるものがあるとしたら、やはり口の開け方や鳴らす位置なのだと思います。体のかたちにも個人差があるので、それもまた限界がありますが。
小田さんからもお話がありましたが、発声練習の20分間というのは、曲からは切り離された一人一人の本来の声を聴く貴重な時間です。『よびごえらしい声』とはどんな声なのか、これからのよびごえがどんな合唱団になっていくのか、私にはまだ見当がつきませんが、稽古を重ねる中でヒントを探っていきたいです。よびごえの未来がとても楽しみです。
 
今日のメインは「お母さん」の解釈を詰めることでした。言葉の意味はだいたい分かるけれど、どのような物語が展開されているかが掴みにくいこの曲。この歌詞に登場する『わたし』『お母さん』は何歳くらいなのか、なぜ母の名前を呼ぶのが「恥ずかしい」のか、等々、多くの疑問が生まれます。疑問点は楽譜の上にもあります。例えば、19ページ2段目はなぜmpで歌わなければならないのか。これには「お母さんが去っていくことにうろたえている」など興味深い意見が出てきましたが、私の中ではまだしっくり来ておりません。次回以降で何か見つかればいいのですが。
 
長くなりそうなのですが、備忘録としてここに私なりの詩の解釈を載せておきます。次に日誌を書くのは、きっと次の目標に向かって練習をしている頃だと思いますので…
 
ミーティングでも少しお話しましたが詩の中の『わたし』(以下『』省略)は母の着物の匂いを嗅いだあと眠りに落ちてしまったのだと想像します。熟睡ではなく、うたた寝くらいの浅さです。浅い眠りのときにはよく夢を見ると言われていますよね。「何十年もむかし こんな風に臥ていた日」からは、わたしはまさに母の夢を見ていると思うのです。夢の中で生前の母と再会し、安心したのもつかの間、実際に起きたのと同じように母は何らかの理由でわたしの元から去ってしまう。その次は「痛い」「苦しい」とあるから、戦火の中での別れだったのでしょうか?それとも、ここからは現実のわたしと夢の中の幼いわたしが混ざって、現実の苦しみが夢にまで出てきているのでしょうか。「冷たいお茶がほしい」「夜はいや 朝にして」という口調から、わたしは完全に幼い頃に戻って母に甘えています。「どこへも行っちゃいや」でわたしの悲痛な願いは最も強くなりますが、ここで夢は醒めてしまいます。そのあとのピアノが、母がもういないことの絶望を表している…ここまでが、解釈と呼べるかわからないほどの解釈(仮)です。まだ分からないこと、腑に落ちないことはたくさんあります。
 
今回、詩から何かを感じ取ることはできたわけですが、それを自分でどう歌唱に反映させるかが難しいところです。演奏者が曲から何か感じていても、それが演奏に変化をもたらさなければ、意味がない…この日一番、心に刺さったひとことでした。
 
目には見えないが、確かにそこに存在するもの(≒詩の世界)を想像するという活動は、とても楽しい時間でした。こうした歌詞読みの活動は今まで何度も行ってきましたが、そのたびに、人は見えているものよりも見えないものに心惹かれる傾向にあるのかなと思います。
サン=テグジュペリの代表作『星の王子様』にも「本当に大切なものは、目には見えないんだよ」という台詞があります。私はこの台詞が好きで、初めて読んだときは軽い衝撃を受けたものです。しかし、人はいつから見えないものの重要性に気づき、光を当てようとしてきたのでしょう。私がこの台詞にハッとさせられるのは、目に見えているものがすべてではない、目に見えないものこそが大事だという教訓が浸透した現代に生きているからなのかもしれません。
 
…話がかなり逸れてしまいましたね。
 
小金井祭で演奏予定のもうひとつの曲「知るや君」も、目に見えない大切なものを描いています。「恋」を「琴の音」と言い換えるなんて、なんて素敵なのでしょう。島崎藤村の情感溢れる詩にときめきながら、転調後の盛り上がりを楽しんでいます。私はアルトのセカンドを歌っているのですが、このパートは全体を通してカデンツの役割を持っています。曲のカギになる音がたくさん散りばめられており、アルトであることの喜びを歌うたびにかみしめています。相澤直人先生の作品って、アルトが美味しいものが多い気がしませんか?私は低いEsがあまり鳴らず苦戦していますが、もっと全体を意識しながらより良い演奏ができるよう努力します!次回の稽古はこちらの解釈の詰めです。頑張ります。
 

 
この日の集合写真は、なんといっても人が多い!密度が高い!夏休み中はたった6人での稽古もあったので、これだけの人数で歌えて嬉しかったです。最近のよびごえは写真に面白さを求めています。今回はあえて真顔で撮ってみました(何人か堪えきれずに笑ってしまっていますが)。よびごえには真面目な人が多いので、ゆっくり少しずつ弾けていきましょう。
 
次の日誌は、しーずーさんにお願いします!(^O^) 松本…
16
September
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.014

こんにちは!初めまして、1年B類フルート専攻のソプラノパート神谷咲妃です。
 

 
今回の練習は夏休みに入って初めての練習だったので、それぞれまず発声を思い出すことから始めました。発声練習では、みんなで円になって内側を向いて歌うのと外側を向いて歌うのでは聞こえ方や自分の歌い心地はどう変わるのか、実験を行いました。結果は内側を向いて歌うと周りの人の顔が見られる安心感があることで、リラックスできたり自分の声が全員の声に調和して聞こえて歌い心地は良かったという意見がほとんどでした。対して外側を向いて歌うと周りの声と自分の声が分離して聞こえるので、不安になるという人やそれによって自分の声をよく聞けて向き合えるといった意見が出ました。わたしは外側を向いて歌う方がみんなの声と自分の声を比較しながら歌えるので、馴染むようにどうすればいいかな、などと自身の声と向き合えて外側を向いて歌う感覚は好きでした。また前回に続いて指導言についても考えました。母音を深く歌うとは具体的にどういうことなのか、図を用いながら小田さんが説明してくださいました。音楽指導では吹奏楽や管弦楽でもよく柔らかく吹いて!だったり、力強く!などと抽象的で曖昧な指示が多いですが、それを柔らかく演奏するために、音量を自在に操れるように、こういった体の使い方をするんだよ、と正しく教えることは難しいけれど、体を壊さずに上達していくためには絶対に必要なことではないかと思いました。これから多くの人が教員を目指していくこの環境だからこそ学べることがとても多く、人への指導へはもちろん、自分の練習のヒントにもなることばかりでとても勉強になります。
 

 
さて今回練習した曲は、夏休み前に引き続き「お母さん」と今回初めて取り掛かった「知るや君」でした。
どちらも音取りの確認を主に練習を進め、7度や半音などといった一見ぶつかって和声から排除して考えてしまいそうな部分をきっちりはめて枠組みをつくりながら各パート組み合わせながら歌うという練習をしました。
「知るや君」の練習では、今後表現を加えるのにあたってどのような表現が適切なのか、注意するべきポイントを挙げました。
まず1つ目はこの曲は最初フーガ形式で始まり、転調の前になくなるのですが、どのようにして聴衆にフーガと伝える歌い方をするのかということでした。2つ目はフーガの主題が繰り返されるときに伴う部分転調の歌い方です。それとなく転調していくのが良いのか、それともしっかり転調を感じられるように間を利用しながら歌うのが良いのか。そして3つ目は詩が文語体で書かれている意味を考えるということです。この曲の詩の作者は島崎藤村(1872~1943)という方で、彼の生きた時代から考えると文語体で書かれたということに意味があるはずだと考えました。また英訳された歌詞も書かれてるので、そこからも歌詞の世界観を感じ取ることが出来るのではないかという意見も出ました。わたしも英訳された歌詞を読んだのですが、もとが七五調なので「知るや君」が「Do you know this, my dear?」と訳されていて、そんな表現になるのかと興味深いのと同時に少し疑問に感じる点もありました。
以上の点を踏まえてそれぞれ表現方法を考え、これからの練習で曲の世界観を創っていこうということで練習を終えました。どちらの曲も重みを感じるような独特な世界観の曲なので、それをどのようにしたら音に歌詞をのせながらでも聴衆に伝わるのか、重いからこそダイレクトに自分たちの感じた重さを伝えられる演奏を出来るように悩みながら練習をしていきたいと思います。
 

 
次のよびごえ日誌はフルートの先輩でもあるこがもえさんにお願いしたいと思います!(よびごえにフルート専攻3人もいると昨日改めて知ってびっくり。!!) 神谷…
27
June
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.008

A類1年の滝澤奏有美です。1年生も、練習を重ねるうちに段々慣れてきました。東京都合唱祭まで残りわずか、暗譜練習も始まり曲を深めています。
 
この日は、発声を井出さん、『恋』と『雨のあと』を小田さんに指導していただきました。まず、2人でペアをつくって、お互いの声が聞きやすい位置をとります。その状態で、できるだけ強く、かつ良い声で、aのlegatoで発声をしました。パートが違う2人でペアになり3度音程でやった時は、普段遠くてよく聴けないメンバーの声も意識して聴くことが出来て、他の人の声を聴きながら歌うことの難しさ、大切さを再確認できた練習でした。
 

 
『恋』の練習では、まず発声が浅いという指摘を受けました。周りに声を合わせようとして、自分たちの本来の声楽での発声ができていませんでした。前回の練習で学んだポジションのことを思い出すために、母音で歌う練習を行いました。また、「息をはやく」という抽象的な現象を確認するために、鼻を指で軽く塞いで、摩擦音によって息の量を認識することもしました。感覚だけでなく、客観的に発声を理解することで、確信として歌うことができると感じました。
 
『雨のあと』では、なぜ作曲者がこのような音をつけたのか、このようなテンポに設定したのか、ということに引き続き留意して練習しました。最後のコーダ部分では、作曲者が、実際の詩にはないものをかなり付け加えて曲の盛り上がりを作っています。普通はこういうことはNGだけど、これは作曲者に「自分も作品の一部として入れて欲しい」という思いがあってのことで、つまり詩だけでなく作曲者の特徴も感じながら歌うべきである、という観点は、今までの自分にはないものでした。また、技術とイメージのバランスをよくとることで、表現を磨いていけるということを学習しました。
 
合唱祭まで残り一回の練習となりました。焦りもありますが、昼練も加えて、残りの時間で曲を磨いていきたいと思います。
次の日誌は今城琴美ちゃんにお願いします! 滝澤…
17
June
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.007

こんにちは。2年声楽専攻の佐藤花音です。雨が降ったりやんだりしてはっきりしない天気ですね。あまり好きな季節ではないですが、『雨のあと』について考えを深めるには最適なことに気づきました!雨が上がったときの雰囲気を味わっておこうと思います!
 
この日は、発声を井出さん、『恋』を草野君、『雨のあと』を小田さんが指導してくださいました。
まず、最初20分の発声の時間は、唇を閉じてのハミングからだんだんa母音に近づけていき、最後はkaで歌いました。kの子音の強さによって、聞いている人が受ける印象にどんな違いがあるか、どのような感情を呼び起こすか、というところまで踏み込みつつ行いました。合唱祭で歌う『恋』の冒頭のkに生かしていきたいです。
 
さてさて、その『恋』ですが、今日は後半部分を中心に取り組みました。「子音を使って、ニュアンスをだしてみよう。子音を発する前の時間をうまく使ってみよう。」ということが今日の1つの大きなテーマだったように思います。「ほのか」「ともしび」などの言葉の語頭に意識をむけて練習しました。この日私は調子が悪かったため、声は出さずに見学していたのですが、アドバイスを受けて歌が変化していく様子は聞いていて楽しかったですし、見ていて勉強になりました。子音の使い方を考えるためには、まず、どのような気持ちなのか、何を伝えたいのかということを、いかに具体的に考えそして自分自身の身近な感情と結び付けられるかが鍵な気がします。この日確認した、この曲の詩が書かれている視点についても踏まえつつ、考えを深めます。
 
もう1曲の『雨のあと』は、作曲者が意図したニュアンスに考慮しながら、テンポや予備拍など基本的なことについての認識を共有した後に、冒頭8小節とその後でのテンポの違いはどうしてなのかを考えました。前奏部分と本編だからという意見や、雨が降っている時のあまり動いていない感じから雨が上がって活動している感じへの変化という意見などがありました。ここの部分に限らず、何のために変えるのか、どんな感情があったのか、を大事にし、そしてそのためにはどう技術を使ったらいいか考え、言語化し、人に伝えられるようになる。これが目標なのですが、私は特に、どう技術を使ったら表現したいものが表現できるのかを考えるところが難しいなぁ、と感じています。試行錯誤を重ねます!
また、歌うときのポジションについても学びました。声楽の発声における理想は深く広く。自分自身が感じる真ん中を基準として前に出してみたり、後ろに持って行ったりいろいろ試した後、合唱団よびごえでのポジションの認識を共有しました。
 

 
最後のミーティングでは、声を合わせるとは?合唱とは?という類のコメントが多かったような気がします。とても個人的な話になり、申し訳ないのですが、この前人生で初めて一人で美術館に行きました。画家が描きたかったことそのままを、直接見ることができる美術作品と違い、音楽は作曲家が表現したかったことが演奏者を介して伝わるという点が面白くもあり、難しくもあるなぁと改めて思いました。歌の場合は作曲家の前に詩人や作家がいるからなおさらです。絵を見たときに感じることが人それぞれ違うのと同じように、楽譜を見たとき・詩を読んだときに感じることも人それぞれ違うというのに、複数人で1つの曲を一緒に歌うのだから、合唱って不思議だなぁと思いました。
 
次のよびごえ日誌は、合唱祭で同じパートを歌う滝澤奏有美ちゃんにお願いしようと思います! 佐藤…
03
June
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.005

今回担当しますのは、3年声楽専攻の國元美乃里です。よびごえのメンバーはそれぞれ忙しいながらも、出席率がとても良いのがすばらしい!きっとそれはここがみんなにとってそれだけ価値のある場所だからではないでしょうか。
 
さて、今日の練習は前回に引き続き佐藤さんの発声指導から始まります。前回の反省をふまえ、今回はより体系化された発声指導となっていました。二人組を作り、前後に並びます。前にいる人が声を出し、後ろにいる人は前の人の声に溶け込むように後から入ります。後ろの人が入ったのがわかったら前の人は手を上げます。前の人はかなり意識して耳を使わないと、後ろの人がいつ入ったのかわかりません。合唱において、周りの声をよく聞き、声を合わせるというのは常に求められることです。普段注意していても案外周りの音を聞けていないこともあります。このような練習の積み重ねが、曲に応用できる力を育むのですね。
 

 
今日は「恋」を草野君が、「雨のあと」を小田さんが指導してくださいました。今回の大きなテーマは、「歌詞をどう表現するか」。私たちは小田さんから、「ドラえもん深読みガイド」(小学館)の中のある一ページを渡されました。そこには、のび太君とドラえもんの会話があります。アイドル歌手のファンであるドラえもんに、のび太君が「そんなに好きなの?」と問いかけ、「ン、モウ大大大ファン!!」とドラえもんが熱を上げて発言する、という場面。この二人のセリフを音楽記号で表すとしたらどう表すか、それぞれグループに分かれ、考えます。のび太君はこんな性格だから、とか、ドラえもんの興奮度はsffで表そう、とか、実際にセリフを読んでみたり、様々な工夫がなされた答えが上がりました。そして、これを楽譜で考えてみます。作曲者はどうしてここにmfを使ったのか。逆に、どうしてmfとしか書かなかったのか。作曲者が楽譜に表した理由、表さなかった理由。私たちは同じ人間ではないので考え方が違うのは当然ですが、しかし、それを考え自分なりに表現することに意味があるのです。歌詞を書いた人、曲を書いた人、歌う人、聴く人、多くの人の心と身体を通って、それぞれの人の感じ方でその音楽を受け止める、音楽の素晴らしいところは、こういうところにあるのだと感じました。
 

 
本番まで残り一か月となりました。残された練習時間もだんだんと少なくなっていきます。今回の練習で考えたこと、できるようになったことを、次回の練習での新たな発見につなげられるように、私も個人練習を頑張ります!暗譜も頑張ります!
よし!次回のよびごえ日誌は、「恋」の指揮を担当してくれている草野くんにお願いしよう!お楽しみに!!! 國元…
30
May
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.004

はじめまして。4年声楽専攻の、名嘉眞静香です。
初めてのよびごえ日誌にワクワクしています。7人で始まったよびごえが、今年は新入生が7人。今日はよびごえ日誌vol.004。vol.100のとき、vol.999のとき、どんなよびごえがあるのだろうと、想像するだけでうれしくてにんまりしてしまいます。
 
さて、今日のよびごえ。まずは、佐藤さんが発声練習を担当してくれました。彼女が発声練習を担当するときには、新しい発想や試み、工夫がいっぱいです。今日は他の人の声をよく聞こう、というもの。3、4人でグループを組み、前後に1人ずつ並びます。前の人は1音を伸ばし続け、それに重ねるように、後ろの人が途中から歌い始めます。後ろの人が歌い始めたと思ったところで、前の人は手を挙げます。後ろの人が実際に歌い始め、前の人がそれを認知するまでにどれくらいの時間がかかったかを、もう1人の人が確認します。「思ったより後ろの人が歌い始めてから気づくのに時間がかかった」、「和音でやったらどうだろう」、「2人でもできるのでは」など。たくさんの意見・感想が積極的に飛び交いました。みんな、よびごえをよくしたいという気持ちに変わりはないですね。1つの提案を、よりよいものにするにはどうしたらいいかを、みんなで話し合えるというのは、とても有意義な時間だと感じます。この練習法はまた続くようなので、次回も楽しみです。
 
今日は合唱祭に向けての練習も3週目。草野さん、小金澤さん、私で稽古をしました。音程やハーモニーは、よく指摘される要素です。これらを、どういう切り口から切り込んでいくのかを考えるには、なにで音程感とハーモニーが構成されているのかを知る必要があり、まだまだ勉強しなくてはと意気込んでいます。自分が前に立って稽古した後、「あの練習法を実践してみたらよかった」、「あの時の声かけよりも、もっと適切なものがあったのでは」と振り返ります。計画→実践→振り返りのサイクルをこなしていく事によって、自分自身のよりよい学習につながるだろうと、粘り強く信じて前進したいです。
 

 
稽古の最後には、私の1番の楽しみであるミーティングが始まります。団員も増え、さらに私たちはよく考え、よく喋る!どんどんミーティングの時間が長くなっていくような気がしています(笑)元気な人もいれば、お疲れ気味の人もいたり、それぞれが合唱を通して、お互いを知り、時間を共有し、なんとなく気づかったり、励ましたり。1人1人の悩みや葛藤、喜びが、よびごえ全体を突き動かすエネルギーになっているのを、強く感じます。よびごえ日誌vol.999でも、みんながありのままに伸び伸びいられる、よびごえでありますように!
 
次回のよびごえ日誌は、我らが団長、山口のエンターテイナー國元さんです!お楽しみに。 名嘉眞…