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21
April
2022

【2022】よびごえ日誌 vol.3

こんにちは! 今回のよびごえ日誌を担当するのはA類音楽2年の大野菜々です。
今回は2回目の新歓でした。参加していただいた方々、本当にありがとうございます…(涙)
 
一般的な合唱団とは少し風変りな活動をしているよびごえですが、体験という形で参加していただくことで、1つでも発見を得ていただければ嬉しいなと感じています。個人的にはその楽しさにハマったらもう合唱の楽しさから抜け出せないような気がしています(笑)
 
さて、今回の稽古は主に詩の解釈、そしてそれをどのように技術に還元するのかという点についてをテーマとした活動でした。とはいっても、私が入団してからそのことばかり考えている気がしますね。稽古中に何気なく小田さんから与えられる課題に対して、1年前の私はあっぷあっぷしていたことを覚えています。周りの先輩方が素敵な意見発表しているのを見て、かっけえ、、、と思ったものです。また毎度のことではありますが、小田さんから与えられる疑問が毎回新鮮で、その視点の多さに驚かされています。自分が合唱指導に携わる際に、子ども達にそういった疑問に気づいてもらえるような稽古ができるのでしょうか… まだまだ人生経験が足りないような気がしています。よびごえ歴も1年程度の私ですが、この期間で様々な視点を手に入れることができました。自分の成長を感じる一方で、もう1年もたってしまったのか、と時の流れの速さを痛感しますね。
 
余談が過ぎましたが、ここからは今回の稽古で考えた問いについて記録します。
前回の「ぜんぶ」の稽古でも詩の解釈を行ったので、今回はその続きのような内容でした。今回与えられた課題は、【さくらももこの詩では繰り返されていない部分をどうして相澤直人は曲にする際に増やしたのだろう】という問いでした。2回繰り返される、というのはあらゆる分野においても製作者の強い意図を感じるポイントです。相澤直人はどういった思いでこのパートを作曲したのか、という点を考察しました。
 
そして次に考えるべき点は、じゃあ私たちはどのように演奏を変化させようか、という技術還元についてです。前回のよびごえ日誌でもあったように、音楽を作るうえでは雰囲気、ニュアンスを漠然と捉えるだけではなく、一歩踏み込んだ技術のことを考える、この過程が非常に重要です。
私はあまり合唱団に所属した経験が少ないので、中高の合唱コンクールでの経験を参考にしますが、学校での合唱指導では特に精神論が多かったように感じています。それは歌うことが自分の身体を使う技術という側面を持っているので、自身の気持ちが少なからず反映されるのは事実だからではないでしょうか。音科の学生さんの中でも「恋が自分の音楽に影響をもたらす」「天気が悪いからこの曲やりづらいな」などの意見がちらほら出ているのを日常的に耳にします。何なら私がその代表格です。天気が悪い日はレッスンだってうまくいかないし、雨が降っている時は調子が出なかったりします。でも、それってとても危険なことではないかな、と最近うすうす気づいてきました。例えば、学校の合唱コンクール。ここは明るい気持ちで歌おう、ここは寂しい感じだよね、事前にこういった打ち合わせをしたとして、いざステージに立ったら、緊張、焦り、そんな感情に支配された音楽が進んでいく。こう言った場面はきっとありふれた事例だろうし、気づいたころには本番は終わっていた経験は私にもあります。そんな事態を防ぐための対策が、私たちが常に向き合っている技術還元なのではないでしょうか。私は感情をそろえたうえで、どのような技術を用いることがふさわしいのかを考察し練習を重ねることで、より再現性のある合唱が可能になるのではないかと考えました。本番が終わった後に練習の成果を発揮することができたと思えるような合唱を披露するためにも、自分たちが感じ取ったものをどうやって技術に落とし込むのかを考えていく必要があるな、とよびごえでの経験を通して強く感じています。
 
私は常々音楽って不思議なものだなと感じています。音を通して作曲者が表現したかったものを感知したり、演奏者の表現したい情景を察知したり。誰にだってできる「音楽を発する」行為は実はものすごい情報量を抱えています。これが解析できるようになったら、音楽を通してのコミュニケーションがもっと実用的なものになるんじゃないかって思ってみたり。音楽は言語を用いないコミュニケーションツールだ、みたいな意見を耳にしたことがある気もします。誰かの演奏を聴いて、何かを感じる。当然のようだけど感じ方が文化によって違ってたり、逆に同じ文化には同じような傾向で伝わったりしそうですね。同じ情景を表現するにしても、日本人向けの演奏とアメリカ人向けの演奏が大きく異なったりするんでしょうか???
 
などと、これ以上は私の思考に収集がつかなくなってしまうので終わりにしたいと思います。自分の意見ばかり含んでしまったので、読みづらいものになってしまったかもしれません。よびごえでの自由にとことん甘えさせていただきます。
 
次回のよびごえ日誌は、2年A類の丸さんにお願いしました!! 大野菜々…
14
April
2022

【2022】よびごえ日誌 vol.2

こんにちは!A類音楽3年になりました、原田綾乃です。
1回目の新歓を終えて、今回は新歓コンに向けての稽古でした。
 
今年の新歓コンでは、「春に」「彼方のノック」を演奏することになりました。春こん。から一転、両方とも日本語で、広く知られた曲です。客席の誰かにとっては中学校の授業で歌った曲だったり、違う誰かにとってはNコンの思い出が蘇る曲だったりするのかもしれません。稽古ではそんな2曲をよびごえらしく演奏できるように紐解いていきました。
 
以下稽古内容(と語り)です。
 
発声練習では、ハミングでブレスとポジションの確認、ア母音でポジションと息のスピードの確認、短い音で当てる練習をしました。22年度から私が発声練習を担当することが多いのですが、高校の時から弾きながら+聴きながら自分も発声、がなかなか難しくて苦手だなあと思っています。指導の引き出しを増やしながら、いろいろを同時にこなす技能も身に付けられるよう頑張ります!
 
その後パートごと音程の確認をして、全体稽古をしました。
 
○春に
まず、完全5度・4度をはめる、3度のキメはアルトが低くならないように、など細かい音程の確認をしました。気持ちよくきまるように、周りを聴いて丁寧に歌いたいです。
表現については、しかし しかも そして の3つの接続語の子音Sの表現について、ただ子音を出すだけではなく質感をcresc.とリンクさせることで歌詞の解釈とつなげる、ということをやりました。
 
何度歌っても、詩を読んでも新しい気づきがあって、改めてこの曲の深さを感じます。私は春になると新しさへの緊張や不安にばかり囚われてしまうのですが、この曲を歌っていると、なんとなくそわそわしたり、ドキドキしたりする気持ちのゆくえや変化、複雑さや多面性を、純粋に、そのまま感じていられる気がします。
 
 
○彼方のノック
今回の稽古では、全体の音やリズムの確認(伴奏とも初めて合わせをしました!)をしたあと、パートごと詩の解釈をしました。
廊下、扉、あなたとわたしとは何のメタファーなのか?
「ここから出して」〜「近づいて」は誰の言葉?
といった問いについて、
 
・「あなた」は「わたし」が認知していない「わたし」
・「あなた」は変化した先の「わたし」
・ここから出して どこかへ行きたい はあなた(変わった後)で、近づかないで でも近づいて はわたし(変わってしまうことへの恐怖)
というような意見が出ました。
 
そんな解釈を経て、歌い始めの表情は息を多めに使って表現することや、「駆けて」が2回繰り返される部分の必死な様子はkの硬さや強弱で表現できること、Cの転調、強弱の不安定さから“動き出した感”を出すことができるといった、具体的な演奏技術に還元させていきました。昨年度は技術的還元にたどり着けないことが多かったので、今年度はどうしたら伝えられるか?を1回の稽古で1つでも自分から見つけられるように頑張ります。
 
 
最後の振り返りでは、Nコン課題曲という先入観が歌詞の解釈の幅を狭めているのではないかという話が出ました。稽古の度に彼方のノックが好きになっている私ですが、コンクールというものに向き合うのがとても苦手なので、きっと彼方のノックにも“Nコン課題曲”というフィルターをかなりかけてしまっていたな、と思いました。私が高校時代にやっていた歌詞解釈も、「こういうテーマだから、こういう風に解釈させたいのではないか」とコンクールらしさのようなものを目指していたのかもしれないし、私が歌詞解釈とはそういうものだと思い込んでいたのかもしれません。
 
わかりそうでわからない、答えのない詩の世界観に熱をもって歌うこと、それをお客さんに伝わるように冷静に技術でコントロールすることを、どんな曲でも忘れずにいたいなあと感じた稽古でした。
 
 
いつも長くてすみません。新歓コン本番に向けて、頑張っていきましょう!
次回の日誌は2年生の大野さんにお願いしました!
  

  原田綾乃…
07
April
2022

【2022】よびごえ日誌 vol.1

よびごえの2022年度がはじまりました。
vol.1のよびごえ日誌は小田が書きたいと思います。
 
今日は新入生の稽古見学(新歓)でした。
新入生の皆さん、ご入学をおめでとうございます。
新しい生活や学び、仲間にわくわくしていることと思います。
新しい何かに取り組むとき、自分が変わろうとするときは、葛藤や整理が必要だったり、疲労を要することもあるかもしれません。でも、その引き換えとして新しい思考や行動、またそうした習慣が獲得され、ゆるやかに新しい自分が形成されていくのだと思います。いまのよびごえメンバーに僕が何か貢献できているかと問われると、僕自身がもっと勉強しなきゃと反省が先にくるのですが、それでもこのよびごえという場がメンバーそれぞれの思考や行動を刺激し、お互いが変わり続けられるエネルギーの健康的な循環が存在しているようにも思います。
「学校の先生になる」という目標から逆算して「合唱指導ができるようになりたい」という意思でも良いですし、学校の先生になるかどうかは別として「合唱と向きあってみたい」という意思でも十分です。自分の能力はいったん不問として、自身の興味の有無で、よびごえをご検討ください。
 
 
さて、ここからは新歓1日目の記録と小田の語りです。
 
曲は2年生以上が決めてくれ、新歓で1年生と一緒に挑戦してみたい曲として「ぜんぶ」(詩:さくらももこ 曲:相澤直人)が選ばれました。
 
早速余談ですが、この曲は、よびごえとしては2017年の東京都合唱祭でも演奏したことがあり、その時はピアノ伴奏版で、かつ僕がなにかの本番と被っていたのか参加できず、指揮無しで演奏したことを覚えています。この時の演奏が相澤先生とよびごえの最初の接点で、相澤先生がこの演奏を気に入ってくださり、それ以降よびごえのことも気にかけてくださるようになりました。たった1回の演奏が人をつなぐことがある、ということを改めて感じました。
 
⇩2分30秒から(この時は6人くらいで歌ってたのかな…?)
https://bit.ly/3jhjejW
 
稽古の流れは次のとおりでした。
 自己紹介、よびごえについての簡単な紹介(10分)
 体操、発声(10分)
 パート練習(10分)
 全体練習(70分) 
 振り返り(20分)
 
全体練習でははじめに、①全体を通して曲全体の雰囲気を確認したり、②開離配置やdiv.の箇所はアルトの音量を大きめにするなどの和音のバランスをとったり、ざっくりと確認を行いました。
 
休憩後は、解釈の時間にしました。
「ぜんぶ」の解釈は、いくつかの点で困難をもっています。1つ目は、すでに歌ったことがある場合は、過去の解釈に引っ張られてしまったり、そこから自力で抜け出すことが難しい場合です。2つ目は、YouTube等で、質が高かったり、好きな演奏があったりしてしまうと、その演奏に寄せようとしてしまう場合です。特に相澤先生ご本人が指揮されていたり、ピアノ伴奏においてはピアノを弾かれている演奏もあり、その影響力は小さくありません。
1つ目については「いま」演奏する意味を、2つ目については「私たちが」演奏する意味を問わなければいけません。私たちが演奏する時は、その作品を「いま」「私たちが」演奏することで何を、誰に伝えたいのか、ということを意識する必要があります。
 
そのため、今回は、本当に基礎の基礎に立って、「ぜんぶ」が収められている詩集『まるむし帳』から、「一元性」という詩群を読むところから始めました。
 
 

 
 
「ぜんぶ」という詩だけを眺めたり、「ぜんぶ」の詩に付されたさくらももこの絵だけを眺めたり、相澤先生の付曲された音楽だけを聴いたりすると、アクセスする情報が部分的になってしまい、「ぜんぶ」という作品の全体性を俯瞰することができない可能性があります。
 
「一元性」の詩群を僕が朗読した後、メンバーの顔が不思議そうな顔をしていたのが印象的でした。「ぜんぶ」を前提にこの詩群を初めて読んだ時、僕は「え、もっと分かりよい、柔らかい世界が広がっていると思っていたのに」とギャップでした。でも、だからこそ面白いと思ったといいますか…。
 
その後、「ぜんぶ」の詩について2つのクエスチョンを立て、各パートで話し合ってもらいました。1つ目はこの詩で言われている「大切なこと」ってなにか、2つ目は「ここ」ってなにか。
 
各パートから出た意見を抜粋して紹介します。
 「大切なこと」ってなにか
  ⇒自分が見ているすべてのこと、もの
  ⇒無いわけじゃないんだけどある、そういうもの
 
 「ここ」ってなにか
  ⇒時間軸としてのいま、ここ
  ⇒自分の中の場所としての、ここ
  ⇒図を参照

 
この活動のねらいは正解を誘導するものではなく、詩の世界に接近するための方法として、問いを立てました。問いを立てることで、詩に向き合う理由をつくるとも言えます。
 
このあと、駆け足ですが、では相澤先生はこの詩から何を感じ、感じたことを音楽という方法でどのように表現したのか、楽譜を眺める時間をとりました。
 
cresc. decresc. や…
18
November
2021

【2021】よびごえ日誌 春こん編 vol.3

はじめまして!A類音楽選修2年の原田綾乃です。
 
夏からよびごえの活動に参加させていただいております。
初日誌、よろしくお願いします…!
 
まず発声練習では、ポジションが変わる音域をハミングで滑らかに歌う練習、「マリア」で母音間での響きを均す練習をしました。稽古でも小田さんから口腔内の体積、響かせる位置を意識するというお話があったので、滑らかな発音や響きを目指して練習したいと思いました。
 
春こん。に向けた4回目の稽古では、マザーグースの3曲目の音取りを終わらせたあと、3曲の合わせをしました。以下、稽古内容です。
 
○3曲目
・全員 p.14 2段目頭 F durきめる
・A1 p.16 2小節目 Eのピッチ
・A1.2 2段目最後の半音階正確に
 
○2曲目
・全員 p.8 thoughtの和声きめる
・全員 p.10 2小節目頭のbitの和声 S1ピッチ高め
・全員 p.12 半音階正確に
 
○1曲目(p.5)
・S2 Why did it〜 ピッチ安定させる
・A1.2 Because bit my finger so…
14
January
2021

保護中: 【2020】よびごえ日誌

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11
January
2021

保護中: 【2020】よびごえ日誌

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24
December
2020

【2020】よびごえ日誌

こんにちは、今回の担当は3年中島菜々子です。年内最後の練習です。
 
全体での発声練習では、特に「ポイントの当て方」を意識して練習をしました。パートを交互に配置してお互いの声を聴きながら歌ったり、高音を出す際に息を止めないようにするなどについても意識して歌いました。また、高音をppで出す、というのは、自分で発声練習する際もあまり取り入れたことがなかったので、ぜひ試してみたいと思いました。
 
今回の「前へ」の練習では、詩の解釈、およびその表現方法について重点的に取り組みました。
 

 
この詩の中で何度も登場している「あなた」とは一体何を指しているのかといった歌詞の解釈から、「どうしてここに空白があるのか」といったように詩の書き方に込められた意図といった部分まで、細かく検討を行いました。また、解釈をしたらそれだけで終わるのではなく、技術的として還元する、といった点についても考えましたが、意外とこの実践が難しいということに改めて気づかされました。個人的に未だ解決できていないのは、「あなたと共に歌ったことを」の「共に」の表現方法です。この「共に」は特に大事に歌いたい、というような認識は共通していますが、ではそれを具体的に、技術的にどう工夫すればよいのか、ということがまだはっきりせず、言語化もできず、という状態で終わってしましました。他パートとの兼ね合いにも目を向けながら、引き続き検討していきたいと思っています。
 
今回は、パートごとに話し合い、どの部分をどのように工夫するか考える時間が複数回ありました。同じパートで実際に歌っているからこそ共感できる点も多々あり、意見を出し合って自分たちで工夫することで、「自分たちでつくっていく」という意識をより強く持つことができたと感じました。この場面で、私が特に興味深いと感じたのは、パートでの打ち合わせの後、まだ「具体的な方法」を引き出せていない状態でも、何らかの変化が生まれた、ということです。これはアルトパートで起こっていたことですが、パート内で話し合って、認識を共有しあったことで、無意識的にかもしれませんが歌声に変化が現れることもあるのだ、と知りました。また、こういった状態のとき、この時に限らず再現できるよう、どうして今うまくいったのか、と分析を行うことも重要だと感じました。
 

 

 
今回は特に詩の解釈・表現を重視した練習になりましたが、まだまだこの詩には多くのことが隠されていると思います。何度も細かいところまでこの詩を読み返して、たくさんの「なぜ?」を自分でも見つけていきたいです。
 

 
次回は、1年生の藤原くんに担当していただきます。フレッシュな視点を楽しみにしております。 中島  
17
December
2020

【2020】よびごえ日誌

この日は、春こんの練習を始めて、3回目の稽古でした。
 
発声練習では、息を吸うときの体の状態(①鼻をどう通るか 広い状態・狭い状態 ②その息がどこへいくか 背中側・お腹側)や、言語が求めている響きの位置があること、そのための練習の仕方を学習しました。息が鼻腔を通りながら、同時にハミングで音を出すということをしました。
 
Ave maris stellaでは、パート間の音程やブレスの位置、それに伴う息の使い方、ポイントが当たっている声であるかということを確認後、この曲の詩について、韻律の話がありました。12音節詩行であるというまとまりや、詩のリズム・意味から来るうねりがあること、そして私たちが分かっていることをどのようにしたら音楽で伝えることができるか、という問いが提示されました。また、そのうねりは3つのパートで時間軸が異なる部分と、tuttiで同じ波をつくる部分があること、aveという言葉から想起されるもの、韻をふんでいること等についても言及がありました。
 

 
前へでは、音程や開離に伴う歌い方等基本を確認しつつ、少しずつ曲の内面、表現に入っていきました。主旋律のエネルギーを他のパートに示し全体で共有していくこと、掛け合いや感嘆符をどう表現するか、どれくらいの決然さかなど、構成を考えた計画的かつ意志がある音の使い方を考えるためのヒントがありました。個人的に、「時間をかけてあたためるべきは、この曲のどれぐらい深いところにずっといられるか」という言葉が印象に残りました。
 
振り返りとしては以上です。話は変わりますが、最近、「炎」(Lisa)と「前へ」がどことなく似ているなと感じました。私は流行に乗り遅れて鬼滅の刃は見ておらず、曲の背景にあるものは分からないですが、なんとなく思いました。一人で歌う・複数人で歌う、曲が世に出た目的など違いは多くありますが、(だからこそ、)未来を考える想いや喪失の悲しみへのエネルギーを考えるヒントをもらえるような気がします。 佐藤  
20
February
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.035

本日のよびごえ日誌は、A類2年アルトパートの伊藤が担当します!寒さの中にも春の足音が聞こえてくる今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか。よびごえが出場する春コンもいよいよ来週と迫っており、団員一同日々の練習に励んでいます。
 
まず初めに、発声練習です。今日は時間が無かったのですが、「腕を上下させジャンプしながら『どんぐりころころ』を歌う」というものを佐藤さんが提案してくれました。佐藤さんが小学生の時に「心拍数を一回高いところまで上げると、次にもう一度その心拍数になった時に慣れてキツくない」という話を聞いたらしく、みんなでヒーヒー言いながら「どんぐりころころ」を歌いました。私たちが春コンで歌う「風紋」も「ビンナマ」もそれぞれパワーが必要なので、体力も肺活量もすごく大事です!!
 
さて、本番も近づく今日の練習テーマは、暗譜☆と細かい部分の修正でした。毎回と言っていいほど“暗譜”という敵が纏わりつきます。今回特に「ビンナマ」では動きも入るため、非常に焦っていました。しかし、練習の前にアンプ会をしたり、暇な時にブツブツ唱えたりしていると、自然と覚えるようになっていました。何回も繰り返してとにかく体に染み込ませる人、規則性を見出して論理的に覚える人、楽譜自体をスクリーンショットのように記憶できる人、暗譜の仕方は人それぞれのようです。
 暗譜をしながら思ったことは、未だにアクセントの位置が曖昧であるということです。Bin-nam-maではbinに>がつくところもあれば、namについたり、maについたりします。楽譜を外して歌うとあまり意識せず歌っていたなと気づきました。また、他パートが主旋律の時はそれを意識しているけれど、それ以外の時に他パートが何をやっているか気に留めていなかったなと思いました。二曲目は立ち位置がソプラノの隣なので、もし暗譜が飛んだりしても混乱しないように、普段から自分以外に耳を傾ける余裕も大切にします。
 
 また、「風紋」でも「ビンナマ」でも子音が多いところで声が前のほうに出てきてしまうので、それを修正しました。摩擦音を出すために狭くした口を一瞬で開けるのを、無意識でやるのは難しいです。しっかり開ける、顎を下げる、と考えながら歌うことが必要です。詰めの時期になっても、発声や体の使い方は絶対に基本となるので、時々確認する機会は大事にしたいです。
 

 
写真は練習後のミーティングの様子です!
春コンまで残りわずかですが、限られた時間を有効に、よびごえらしく、楽しく、最後まで磨いていきます。
P.S.出番は3/1(日)浜離宮朝日ホール11:08頃の予定です。私たちの合唱を、ぜひ多くの人に聴いて頂けると嬉しいです(*^^*)!!!
 
次回のよびごえ日誌は、は私と同じ二年生でアルトパートの中島さんにお願いしたいと思います!♡ 伊藤…
10
February
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.033

こんにちは、3年の國元美乃里です。秋学期は今週で終了ということで、テストや試験が佳境を迎えており、学芸大学は非常に盛り上がっております。と同時に3年生の名乗ることができるのも残りわずかとなり、ついこの前大学に入ったばかりなのになあと、時の流れの速さに驚いております。
 
 練習は、ななせちゃんの発声から始まります。ハミングで8拍間、2拍ずつのクレッシェンドデクレッシェンドを繰り返します。最初はどのくらいの音量で、最高音量はどの程度で、と計画的にやらないと、2拍はあっという間に流れてしまいます。次は、『カケキコクコキケカケキコク』(あってる?)を音階で歌っていきます。カ行は意識して発音しないとうまく当たらなかったり、母音の違いで響きの違いも分かりやすいため、合わせるのがとても難しいです。今回の発声メニューは初めて取り組むものも多く、きっとななせちゃんが、どうやったら風紋やビンナマにつなげられるのかと試行錯誤を重ねて、毎週持ってきてくれているのだと思います。ありがとうございます。
 
 頭を使って机やいすをコンパクトに並べ替え、できる限り本番のステージの広さを確保します。いつも通り、まず初めは風紋の通しから始まります。私たちの強みは何と言ってもこの人数。しかもそのほとんどが、声を出すことをお得意とする声楽専攻で、他団体に負けない音量を出すことができます。その強みを生かし、風紋ではビル風のような、強烈で圧倒的な風を吹かせ、それに匹敵する大きな愛を表現したいと思います。
 
 この練習の前に何人かでビンナマの暗譜稽古を行ったのですが、同じような音形、同じような言葉が繰り返され、微妙に変化していくこの曲を暗譜するには、規則性を見出すことが一番の近道であると感じました。中学の頃から、テストに出る何の関連性もない用語たちを、勝手に意味づけして記憶していくことが得意だった私(テストは全部それで乗り切っていた)。とっとと暗譜するんだ!!!ということで、話がずれましたが、ビンナマではまず、Pの表現の仕方を考えます。ただ小さい音で歌えばいいという話ではありません。音色を柔らかくする、その前の音を強く固く歌い相対的にPに聞こえさせる、息を混ぜる、など音量以外のアプローチはいろいろ考えられます。次に課題にあがったのが、M⤴の歌い方です。この場面では不満を表現したいのですが、言葉ではないこの音でこの世界の異質さを表現しなければなりません。いまはまだ、個人個人のイメージや方法が統一できておらず、まとまっていない状態なので、早急な課題として取り組んでいきたいと思います。ビンナマは何となく、歌っているときの頭の中や声はそれっぽくなってきたのですが、身体が追い付いていないという感じがしています。身体は意識しないと動きません。どこかに冷静な視点はもちつつ、呪術的かつ神秘的かつ幻想的な踊りで観客の皆さんを感動させることができたらと思います。
 

 
 つぎの日誌は同じソプラノパート1年生のやあなちゃんにお願いしたいと思います。とっとと暗譜します!!!
  國元…
03
February
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.031

こんにちは。佐藤花音です。
寒いですね。中学、高校、大学受験シーズンですね。受験生が落ちついて力を出しきれることを心から祈っています。
大学内も試験、試験、試験と毎日追われています…がんばります…
 
今日は発声の時にテヌートとアクセントの歌い分けについて考えました。二人組で行い、片方の人が歌った後2人で振り返りをします。発声を進めてくれたななせさんの指示で、まず歌い終わった人が、違いを表現するために変えたことを言った後に、聞いていた人が感じたことを言いました。ただ聞いていた人が感じたことを言うだけよりも、まず歌った人が振り返ることから始める方が、深く考えられるなぁ、と思いました。表現について、意見を聞くというより、自分の感覚や判断基準について、意見を聞く感じになるからかなと思います。先日教育法の授業でこれに関連する内容を聞いたのを思い出しました。授業で学んだことを実践の中で捉え直すことで学びが深まるのは楽しいです。
 
風紋は今まで部分部分で練習していたところのつなぎを確認し、その後に通しました。その際録音をして改善点を出しました。子音のタイミングや強さ、フレーズの終わり、リズムの出し方などについて言及があり、それらについて確認した後に、もう一度通しました。
風紋は息継ぎのタイミングが難しいのもあり後半になるとだんだん疲れてきます。疲れてきたときに自分の歌い方がどう変化するか知り、計算して歌うよう、また、一度に全部はできなくていいから1つずつうまくなっていってと、お話がありました。
 
ビンナマはいままでよりも細かく表現の仕方について練習しました。強弱、動き、アクセント、スタッカート、テヌート、どんな声質で歌うか、などの点について、数小節ずつ丁寧につくっていきました。考えることが盛りだくさんで、練習時間があっというまに過ぎていきます。野性的・非日常的な表現をめざす部分がありますが、このような世界観の曲は今まであまり出会ったことがなくて新鮮です!最後に前半と後半に分けて、通しました。分けてであっても、通したのは今日が初めてでした。通してみて改めて感じたのは、場面の変化・音楽の変化がめまぐるしい曲だということです。気持ちと思考と感覚がきちんと伴っていけるよう、1つずつ頭と体に浸透させていきたいです。
 

 
次回は井出さんにお願いします! 佐藤…
16
January
2020

【2019】よびごえ日誌 vol.030

こんにちは!今回のよびごえ日誌はA類1年アルトパートの堀切彩愛が担当します。
今日の練習はまずストレッチから始まりました。1人で首回し等をした後、2人組で背中合わせになって、手首を持って前に倒れて引っ張り合うストレッチをしました。普段あまり伸ばせないところも伸ばせた感じがしてとても気持ち良よく、組体操みたいで楽しかったです!
その後に発声練習をしました。ドレミレドの音形で、ハミングやka,ア母音で最初だけkの子音を付ける等段階を追って練習しました。今回の練習では、「空間で音をまとめるとはどんなことか」をテーマに、指揮者がいるあたりに声を集めるポイントを設定したり、空間全体を意識したりしながら、息のスピードや子音にかける時間を調整しました。本番のホールでの聞こえ方を意識しながら練習することが大切だと感じました。
 
今日の稽古では、BIN-NAM-MAをメインに練習しました。パート内や全体で決めておくべき約束事を話し合って解決していきます。1つ目に話し合ったのは、アルトに出てくるウィスパーボイスでのテヌートの付け方です。滑らかなクレッシェンドディクレッシェンドではなく、テヌートの部分で止まった時間を作る,gの子音を長めにとる等の結論になりました。次はソプラノのウィスパーボイスの部分で、楽譜の表記が3度高くなっている箇所をどう表現するかということです。音の高さは喉を締めることで表現できるという結論になりました。次に、途中に出てくる体全体を使ったリズムパターンをどう表現するかという話し合いになり、何かしらの動作を楽譜通りすることは決まりましたが、細かいことは保留になりました。またHに出てくる矢印付きのOMは有声にすることを確認しました。さらに、バツ印の付いたmaはかわいく唇の破裂音が聞こえるような歌い方にすることも確認しました。その後、楽譜の細かい所を確認していきます。「不満げに」という指示をどう技術的に還元していくのか個人で試してみたり、テヌートや細かいクレッシェンド,ディクレッシェンドを的確に表現できるよう練習したりしました。P.9にあるクレッシェンドからのフォルテ、その後のスビトピアノの流れについては特に重要で何度も練習しました。私は今までこの曲の振りや音を一通り通り歌うことに気を取られ、細かい所にまで目を向けられていなかったことをとても反省した稽古だったのですが、細かい表現は全員で共有して的確に表現していけると良いなと思いました。
最後に小田さんからの宿題として、今は日本人っぽく歌いすぎているので、舌根を落としたようなkumの言い方と南米の人の感情表現,南米についてを各自研究しようということになりました。本番までもうあまり時間が無いので、自分でも曲の理解をどんどん深めていきたいと思います。
 

次回のよびごえ日誌は谷さんにお願いしたいと思います!
成人された先輩方、おめでとうございます! 堀切…
07
October
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.019

こんにちは!初めまして、A類音楽科2年の伊藤真緒です。
最近だんだんと涼しくなってきて、秋を感じる頃となりました。私は秋風を肌に感じると、なぜだか寂しい気持ちになるのですが、秋といったら芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋・・・楽しみなことも沢山ありますね(^^)学芸大生の皆さんは、残りわずかの夏休み(もはや秋休み)を楽しみましょう!!!
 
さて、今日の練習についてお話していきたいと思います。
 
この日は、いつも興味深いアイデアで発声練習を担当してくれる花音さんの発声から始まりました。今日は「ハミングからア母音につなげよう」という内容で、mのハミング→nのハミング→アー といった順番で発声を行いました。ハミングをした時の響きの感覚と、息の使い方をかなり意識しながら母音につなげていきました。花音さんの意図した結果かはわかりませんが、いつもよりも結果的に声がまとまった!という意見がありました。確か前々回に、「肉声を揃える」「響きを揃える」という話が出たと思うのですが、「響きを揃える」という点でハミングは使える手の一つかもしれませんね。
 
次に、井出さんを中心として「知るや君」を練習しました。
そういえば!今日はなんとソプラノが一人もいないという珍しいパート構成だったのです!!いつもと違う和声感や響きを聴きながらも、ソプラノのメロディを自分なりに思い浮かべながら歌い深めていきました。
まず、井出さんがこの曲と同じ歌詞で映像(絵)がついている「知るや君」の動画を引っ張り出してきたので、それを全員で見ました。NHK番組「シャキーン」で流れていたものです。
 

 
映像を見て、「私の歌詞解釈と、映像の絵がほとんど合っていた」「相澤さんの曲は『知るや君』と次の歌詞が重なりながらメロディが進むけど、この曲は一連ごとに『知るや君』で完結しているね」等の意見が挙がりました。私は小学生の時、この曲を学校に行く前に聴いていたのですごく懐かしい気持ちになりました(笑) 
 
そして、前回の歌詞解釈、また先ほど見た映像や自分のイメージをどうやって曲に反映するのかをパートごとに考えていきました。人の考えを聴くことができる充実した時間で、私はいつもわくわくしながら意見を共有し合うのですが、パート内で話し合うだけでもかなりの時間がかかります。私が所属するAltoⅠでは、詩の連ごとに単調に歌うのかドラマチックに歌うのかを分けてみた、歌詞ごとに声の質を変えてみた(上澄みっぽい声なのか深めなのか)、後半に向かって音量を盛り上げた、言葉の入りだけでなく処理はどうしたらよいかな?という意見が出ました。
その後、パートで話し合ったことを全員で共有せずにそのまま曲を歌ったことで、伝えたいことが表現できている部分と、何がやりたいか分からない部分というのが浮き彫りになりました。このような話し合いの後はパートごとに発表する、というのが一般的なプロセスだと思っていたのですが、あえて発表しないことで他パートがどう表現しているか・何を変えたのかを歌いながら意識して耳で感じることができました。新しい発見!
 
続いて「お母さん」の初伴奏合わせをしました。指揮がないこともあり、合わない部分はありましたが、今までよりも曲の全体像が見えましたし、特に痛みや苦しみがよりリアルに感じられました。しかし、逆に伴奏がない前半の部分が最大の課題だと思います。
小金井祭まであと一か月もないという事実に焦りを感じているのですが、本番までにどれだけこの曲を深められ、本番でどう観客に伝わるのかという点では楽しみでもあります。今日の練習で歌いながら違和感を持ったところや、上手く発音できなかったところがあったので(「ほ」「ふ」の発音って難しくないですか?)、団での練習以外でも自分にできることを見つけて詰めていきたいです。
 
こうやって日誌を書くと、よびごえでの2時間は密度が高いものだなぁと実感します。私は小学生の時から日常生活で日記をつける習慣があるのですが、人に見られるものだと思って書くと、日誌って難しいですね…。
 

 
今日の集合写真は、セルフタイマーで撮ってみました。特に意味はありません。次回のよびごえ日誌は、二回目の登場である佐藤かのんさんにお願いしたいと思います!次回もお楽しみに~☆ 伊藤…
27
September
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.016

B類音楽専攻3年の井出です。
数日前に3週間の教育実習が終わり、よびごえの活動に戻ってきました。
 
今日は私が発声を担当しました。数日前まで元気な中学生の歌声を聞いていたせいか、今日参加していたメンバーの声は深くて、個性が出ていて、でも揃っている、そんなオトナな声を久しぶりに聞き、その違いに衝撃を受けました(無論、どちらが良い、悪いといった次元の話ではありません)。あ、戻ってきたな、と感じましたし、今ここに存在する学習の場に感謝しなくては、と思いました。
 
今日の稽古では、前半に「知るや君」、後半に「お母さん」を行いました。
実習や長期休みでブランクのあるメンバーもいましたので、音の確認をしつつ何度か歌いました。特に「知るや君」に関しては私自身、初合わせでした。恥ずかしながら前日に音取りをしたもので、小田さんのピアノに導かれ、「こんな音が鳴るのか」と密かに感動しておりました。同じ学科に所属しているコントラバスを弾く彼から、オーケストラの初回合わせはほぼ初見で、更には参考音源をも聴かずに挑む、と聞いたことがあります。他パートのいわゆる「オイシイ」フレーズなどをその場で見聞きして、曲の理解を深めていくのが好き、だとか。今日の「知るや君」の練習は、私にとってはそれと似たような機会であったと思います。また、聞くポイント、歌うときに意識するポイントは提示がありましたが、いかに他パートの音に耳を向けるか、またその各パートの主張を聞いた結果、自分がどのように歌うべきかを瞬時に判断し演奏に活かす訓練だったと思っています。
 
「知るや君」の中で用いられているフーガの技法、主題の変奏の数について議論もしましたね。主題の変奏を楽譜から探す作業は個人的に楽しい時間でした。この時は楽譜を一つの絵画的な作品として見ていたわけです。所詮楽譜も記号の集まり、と言われれば確かにその通りですが、それを演奏すると音楽に変わります。演奏者が楽譜に真摯に向き合うことは、その楽譜を聴く側に伝えるという点で大切なことです。ここ、よびごえで学んでいるのは、「楽譜から作曲者の意図を読み取る術、その意図を明確に表現する術」だと思っています。これは一つとは限りません。和声的視点なのか、発声の問題なのか、音響学的?、はたまた美学的?なのかはその曲、その場合によりけりですが、今後私たちが一人で楽譜と向き合ったときに、ここで学んだ何かが役に立つのではないかと考えながら学習しています(この気持ちが大学1年のときからあれば、と後悔しています。今思えば、様々な意見が出ていたのにも関わらず、それらを受容できずにいました)。
 


 
「お母さん」の稽古では、中間部の雰囲気の変化をいかに表現するかという内容が主でした。日誌を見返してみると、7月の末に「恐怖にを表すためにどのような要素が必要だろうか」とパートごとに検討をしていました。それら要素が楽譜の中にたくさん隠れていることは分かりました。私たちは「音」という表現技法をもっています。徐々に恐怖を喚起させるために、どのように音を変化させれば伝わるのかを考え、練習を重ねました。用いる技術を整理したことで、明らかに変化したと思う瞬間もありましたし、また何か変化させようと努力している姿が印象的でした。変化させるには頭とエネルギーを使いますね。
 
さて、そろそろ稽古冒頭の発声練習を1年生にもお願いしたいなと思っています。あの時間は、自分が思うなぜ?どうして?を皆で試せる時間だと思っています。少なからず緊張します。ですが自分が何を大切にして発声練習を行っているか、この合唱団にとって必要なことは何かを考えるきっかけになると思いますのでぜひ。
 
実習についてはまたどこかでお話させてください。
次回の日誌は松本夏美さんにお願いしようと思います。 井出…
23
September
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.015

初めまして。A類音楽選修2年の小金澤萌花です。
何を書いたらいいんだろう、と過去のよびごえ日誌をさかのぼりましたが、皆さん内容を詳しく真面目に書いていらして、少々困惑しております。
 
この日も花音さん担当の発声からスタートしました。
初めに好きなように歩き回ってみて、好きなところで立ち止まり、そこで声を出していくものでしたが、皆だいたい自分の席に近いところに立っていて、日本人だな、と思いました(笑)。pで発声することから始め、コントロールを身につけるというもので、実は管楽器でもそのような基礎練習は存在するので、声と管楽器の共通点のようなものを感じ、面白いと思いました。ただ個人的には、朝イチだったので、その発声練習のみですとあまり声が出ないまま曲の稽古に突入してしまいました。私は朝に弱いです。次は発声してから発声に臨みたいと思います。
 
今回も稽古した曲は、「お母さん」と「知るや君」の2曲でした。小金井祭で演奏する予定の曲ですね。
各パートの個人的な音取りはだいたい済んだので、他パートとの音程のかかわりや場面にあった歌い方などの、少し進んだ内容に取り組むことができました。
今回考えてみたのは、「お母さん」の冒頭に書かれている、『語るように』という指示についてです。『語るように』とは具体的に何をしているのか、『語るように』を達成するために何を意識するのかを考えました。
(下ブ画像をご参照ください。)
自分がやったことのなかった、頭の中で漢字に変換する(楽譜はすべてひらがななので)という方法も出て、驚きました。
『語るように』というのは抽象的な指示ですね。また、この指示を達成するために、音ではなく歌詞の作用について考えてみたいと感じました。
よびごえに1年生が入団してくれたことで、夏の東京都合唱祭から女声合唱という新体制になりました。私のパートはアルトなので一番下です。
普段はフルートで高音のメロディを演奏することが多いので、経験のない低音パートの動きにワクワクしています。しかも今回小金井祭で演奏する「知るや君」の最低音はE♭3という女声の範疇を超える超低音です。地声がとても低いことに定評がある私の出番が来た!と勝手に思っております(笑)。
 

 
最後のミーティングの内容、自分が何を話したのかあまり覚えていませんが、ある団員の方が、「自分が所属しているほかの団体で、音楽を専攻していないにもかかわらず、自分より知識が豊富な方がいる」というような話をされていたのが印象に残りました。それに対し小田さんは、ご自身の経験から、「その人たちは、知識は持っていても人を感動させるような技術がない。プロとしてやっていく我々とは評価軸がちがう」と答えられていました(解釈違いでしたらすみません)。この方の場合、評価軸が違う、というところには納得できました。
私の知り合いにも、音楽専攻でないにも関わらず、知識が豊富で、技術もある(実は私より長くフルートを吹かれている)方がいらっしゃいます。その方と出会った頃は、劣等感のようなものを感じていましたが、いつのまにかあまり気にしなくなっていました。おそらく、彼と私では得意なことが違い、彼の方が得意な分野は力を借りつつ自分の蓄えにしていこう、と思えるようになったことが作用したのだと思います。評価軸が違う、で論理的には納得できますが、この経験をきっかけに変わろうと思えたなら、それはそれで出会えてラッキー!くらいで構えても良いのではないでしょうか。
 
実は私、よびごえのTwitterの中の人なのですが、いつも同じような集合写真になってしまうことが悩みでした。ですので今回は、あえてブレ写真を撮るという手法に出てみました!いかがでしょうか?
何事も変化がないとだれてしまうので、稽古のあった日の集合写真も変化に富んだものにしていきたいですね。
何か良いネタがありましたらよびごえのTwitterアカウントまでご一報ください。
 

 
もともと話を短くまとめるのが苦手です。ダラダラとしゃべっているのが好きなんでしょうね。校長先生になったら生徒から嫌われてしまうタイプの人間です。長々とお付き合いいただきありがとうございました!
次のよびごえ日誌は実習終わりたての井出さんにお願いしようと思います!3年生の皆さん実習お疲れ様です! 小金澤…
16
September
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.014

こんにちは!初めまして、1年B類フルート専攻のソプラノパート神谷咲妃です。
 

 
今回の練習は夏休みに入って初めての練習だったので、それぞれまず発声を思い出すことから始めました。発声練習では、みんなで円になって内側を向いて歌うのと外側を向いて歌うのでは聞こえ方や自分の歌い心地はどう変わるのか、実験を行いました。結果は内側を向いて歌うと周りの人の顔が見られる安心感があることで、リラックスできたり自分の声が全員の声に調和して聞こえて歌い心地は良かったという意見がほとんどでした。対して外側を向いて歌うと周りの声と自分の声が分離して聞こえるので、不安になるという人やそれによって自分の声をよく聞けて向き合えるといった意見が出ました。わたしは外側を向いて歌う方がみんなの声と自分の声を比較しながら歌えるので、馴染むようにどうすればいいかな、などと自身の声と向き合えて外側を向いて歌う感覚は好きでした。また前回に続いて指導言についても考えました。母音を深く歌うとは具体的にどういうことなのか、図を用いながら小田さんが説明してくださいました。音楽指導では吹奏楽や管弦楽でもよく柔らかく吹いて!だったり、力強く!などと抽象的で曖昧な指示が多いですが、それを柔らかく演奏するために、音量を自在に操れるように、こういった体の使い方をするんだよ、と正しく教えることは難しいけれど、体を壊さずに上達していくためには絶対に必要なことではないかと思いました。これから多くの人が教員を目指していくこの環境だからこそ学べることがとても多く、人への指導へはもちろん、自分の練習のヒントにもなることばかりでとても勉強になります。
 

 
さて今回練習した曲は、夏休み前に引き続き「お母さん」と今回初めて取り掛かった「知るや君」でした。
どちらも音取りの確認を主に練習を進め、7度や半音などといった一見ぶつかって和声から排除して考えてしまいそうな部分をきっちりはめて枠組みをつくりながら各パート組み合わせながら歌うという練習をしました。
「知るや君」の練習では、今後表現を加えるのにあたってどのような表現が適切なのか、注意するべきポイントを挙げました。
まず1つ目はこの曲は最初フーガ形式で始まり、転調の前になくなるのですが、どのようにして聴衆にフーガと伝える歌い方をするのかということでした。2つ目はフーガの主題が繰り返されるときに伴う部分転調の歌い方です。それとなく転調していくのが良いのか、それともしっかり転調を感じられるように間を利用しながら歌うのが良いのか。そして3つ目は詩が文語体で書かれている意味を考えるということです。この曲の詩の作者は島崎藤村(1872~1943)という方で、彼の生きた時代から考えると文語体で書かれたということに意味があるはずだと考えました。また英訳された歌詞も書かれてるので、そこからも歌詞の世界観を感じ取ることが出来るのではないかという意見も出ました。わたしも英訳された歌詞を読んだのですが、もとが七五調なので「知るや君」が「Do you know this, my dear?」と訳されていて、そんな表現になるのかと興味深いのと同時に少し疑問に感じる点もありました。
以上の点を踏まえてそれぞれ表現方法を考え、これからの練習で曲の世界観を創っていこうということで練習を終えました。どちらの曲も重みを感じるような独特な世界観の曲なので、それをどのようにしたら音に歌詞をのせながらでも聴衆に伝わるのか、重いからこそダイレクトに自分たちの感じた重さを伝えられる演奏を出来るように悩みながら練習をしていきたいと思います。
 

 
次のよびごえ日誌はフルートの先輩でもあるこがもえさんにお願いしたいと思います!(よびごえにフルート専攻3人もいると昨日改めて知ってびっくり。!!) 神谷…
29
July
2019

【2019】よびごえ日誌 vol.013

こんにちは、滝澤奏有美です。
今回の練習では、まずストレッチをして、アキレス腱を伸ばすことから始めました。次に発声練習で、声のポジションについて考えました。2人組になって、そのうちの1人の手の上下運動に合わせてもう1人が声のポジションを前後させて歌うという練習でした。ポジションの前後と口の開け方の連動性についても気づくきっかけになりました。同じポジションを求めたくても、人によって口の形の変化が違うという発見や、深い→浅いは簡単だけど、浅い→深いは難しいという声もありました。
 
前回で「お母さん」の音取りが完了していたので、小田さんの進行のもとで、一度通して歌ってみました。時々和音を確認しながらの練習でした。
次に、「恐怖」というものは技術的にどうやって表せるのか、「恐怖」を表現するにはどのような要素が必要だと思うかについてパートごとに話し合い、全体で共有しました。
 

 

 

 
何が起こるのか分からない’急な変化’、不自然な子音、暗さ、調の不安定さ・無調、2度などのぶつかる音程、同音の連続、低音のアクセント、半音の動き、ずっと同じ幅での平行な音程、減七音程などが、「恐怖」を想起させる要素としてあがりました。怖さには色々あって、そしてそれは状況によって違うもので、常に普遍的な感情ではないということも学びました。「お母さん」には、技法的には、話し合いであがったような「恐怖」のピースは揃っています。楽譜からそのサインを見つけて、それを活かして「恐怖」を再現できるようになることが、この曲を練習するうえでの課題だと思いました。
 
この日が夏休み前最後の練習ということで、今後の方針を考える為にも、これからよびごえで何を学びたいかを1人ずつ出し合いました。あがったのは、指導言について、声を「合わせる」とは何か、複数の音の中で自分の音を正確に歌唱する方法、指導実践、歌う前の体ほぐしやストレッチは本当に有効なのか、解釈と実践の関連、音楽を通した先にある学び、一斉指導の限界、歌うための環境づくり ということです。多様な言語の発音、体と行動の関係、そもそも合唱の発声とは何か、楽譜を解釈する方法論、子どもの状態を見取って教育にフィードバックすること、合唱団内部の人間関係の構築について、ということも、勉強すべき事項だと話がありました。夏休みの、時間があるうちに、それぞれで研究を進めたいと思います。
 
次の日誌は、神谷咲妃ちゃんにお願いします! 滝澤…