よびごえ日誌


2022.04.14 【2022】よびごえ日誌 vol.2
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こんにちは!A類音楽3年になりました、原田綾乃です。
1回目の新歓を終えて、今回は新歓コンに向けての稽古でした。
 
今年の新歓コンでは、「春に」「彼方のノック」を演奏することになりました。春こん。から一転、両方とも日本語で、広く知られた曲です。客席の誰かにとっては中学校の授業で歌った曲だったり、違う誰かにとってはNコンの思い出が蘇る曲だったりするのかもしれません。稽古ではそんな2曲をよびごえらしく演奏できるように紐解いていきました。
 
以下稽古内容(と語り)です。
 
発声練習では、ハミングでブレスとポジションの確認、ア母音でポジションと息のスピードの確認、短い音で当てる練習をしました。22年度から私が発声練習を担当することが多いのですが、高校の時から弾きながら+聴きながら自分も発声、がなかなか難しくて苦手だなあと思っています。指導の引き出しを増やしながら、いろいろを同時にこなす技能も身に付けられるよう頑張ります!
 
その後パートごと音程の確認をして、全体稽古をしました。
 
○春に
まず、完全5度・4度をはめる、3度のキメはアルトが低くならないように、など細かい音程の確認をしました。気持ちよくきまるように、周りを聴いて丁寧に歌いたいです。
表現については、しかし しかも そして の3つの接続語の子音Sの表現について、ただ子音を出すだけではなく質感をcresc.とリンクさせることで歌詞の解釈とつなげる、ということをやりました。
 
何度歌っても、詩を読んでも新しい気づきがあって、改めてこの曲の深さを感じます。私は春になると新しさへの緊張や不安にばかり囚われてしまうのですが、この曲を歌っていると、なんとなくそわそわしたり、ドキドキしたりする気持ちのゆくえや変化、複雑さや多面性を、純粋に、そのまま感じていられる気がします。
 
 
○彼方のノック
今回の稽古では、全体の音やリズムの確認(伴奏とも初めて合わせをしました!)をしたあと、パートごと詩の解釈をしました。
廊下、扉、あなたとわたしとは何のメタファーなのか?
「ここから出して」〜「近づいて」は誰の言葉?
といった問いについて、
 
・「あなた」は「わたし」が認知していない「わたし」
・「あなた」は変化した先の「わたし」
・ここから出して どこかへ行きたい はあなた(変わった後)で、近づかないで でも近づいて はわたし(変わってしまうことへの恐怖)
というような意見が出ました。
 
そんな解釈を経て、歌い始めの表情は息を多めに使って表現することや、「駆けて」が2回繰り返される部分の必死な様子はkの硬さや強弱で表現できること、Cの転調、強弱の不安定さから“動き出した感”を出すことができるといった、具体的な演奏技術に還元させていきました。昨年度は技術的還元にたどり着けないことが多かったので、今年度はどうしたら伝えられるか?を1回の稽古で1つでも自分から見つけられるように頑張ります。
 
 
最後の振り返りでは、Nコン課題曲という先入観が歌詞の解釈の幅を狭めているのではないかという話が出ました。稽古の度に彼方のノックが好きになっている私ですが、コンクールというものに向き合うのがとても苦手なので、きっと彼方のノックにも“Nコン課題曲”というフィルターをかなりかけてしまっていたな、と思いました。私が高校時代にやっていた歌詞解釈も、「こういうテーマだから、こういう風に解釈させたいのではないか」とコンクールらしさのようなものを目指していたのかもしれないし、私が歌詞解釈とはそういうものだと思い込んでいたのかもしれません。
 
わかりそうでわからない、答えのない詩の世界観に熱をもって歌うこと、それをお客さんに伝わるように冷静に技術でコントロールすることを、どんな曲でも忘れずにいたいなあと感じた稽古でした。
 
 
いつも長くてすみません。新歓コン本番に向けて、頑張っていきましょう!
次回の日誌は2年生の大野さんにお願いしました!
  

 

原田綾乃