よびごえ日誌


2025.12.20 【2025】よびごえ日誌 vol.5
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2連チャンで申し訳ないです、小田です。
前回はDaemonについて書いたので、今回はSleepについて書いておきたいと思っています。
 
後期が始まって以降、僕の一方的な稽古ばかりで本当に申し訳なく思っています。
来週までの稽古は、基礎を固めるという意味で、お付き合いいただけると助かります。
年が明けたら、みなさん同士でアイデアを交換してもらいながら、最終調整していきましょう!
 
The evening hangs beneath the moon
  月の真下には、夕暮れが垂れ下がっている
A silver thread on darkened dune
  暗い砂丘には、一筋の月の光(銀の糸)
With closing eyes and resting head
  目を閉じて、頭を休めると
I know that sleep is coming soon
  分かるのだ 眠りがやってくるということが。
 
Upon my pillow, safe in bed
  枕の上 安心感のあるベッドの中で
A thousand pictures fill my head
  幾千もの景色が頭を埋め尽くす
I cannot sleep, my mind’s a-flight
  (ああ、)私は眠ることはできない 心は動きたがっている
And yet my limbs seem made of lead
  (ああ、)しかし、手足は鉛でつくられているかのよう。
 
If there are noises in the night
  もしも夜に、かすかな音があれば
A frightening shadow, flickering light
  身震いするような影があれば、震えている光があれば
Then I surrender unto sleep
  そのときにはもう、眠りへと身を任せてしまおう
Where clouds of dream give second sight
  そこでは、夢の雲が、見えないものをも見せてくれる
What dreams may come, both dark and deep
  夢はやってくる それは暗くて深い夢であり、
Of flying wings and soaring leap
  自らの翼で飛んで 高く舞い上がるような夢(!)
As I surrender unto sleep,
  (ああ、)眠りへと身を任せてしまおう
As I surrender unto sleep.
  (そう、)眠りへと身を任せてしまおう
 
 
本当に美しい詩ですが、Sleepの作曲経緯はやや複雑です。本当は別の詩に作曲されたのが原曲で、その詩の使用が不可であることがあとから分かり、完成された曲にあとから別の詩があてられました。
 
新しく付された詩のスタートでは、私たちの想像力が試されるような場面から始まります。「月の真下に垂れ下がる夕暮れ」、なんとなく、分かるような、分からないような気がしますが(それが詩人のねらいかもしれませんが)、みなさんの頭には景色が思い浮かびますか?
 
稽古中にも話をしたように思いますが、この詩に出てくる「目を閉じる」ということについて、個人的には、現実を超えていく手段なんだろうと捉えています。目を開けると明るい世界が見えますが、一方で、光の当たっている、形あるものしか見えません。目を閉じると、そこは暗闇ですが、何も描かれていない真っ黒のキャンバスだからこそ、「夢」のようにイメージすることのすべてが描けるのだと思います。もしも翼があったら、もしも高く舞い上がることができたら…と。
 
これらの言葉は、Whitacreの書いた音で演奏されることで、静かな風景を描写したり、主人公である〈私〉の心を浮かび上がらせたりします。僕が↑の邦訳の中でカッコで示した言葉は、実際は詩には書かれていませんが、音楽になると、そうした息遣いや、心の声が聴こえてくるように僕には見えます。
 
結局、寝るだけの曲ではあるのですが、こんなにも美しいとはすごいもんだなぁと思います。
 
 
そういえば、稽古中に、僕が最初にお配りした2001年版のSleepと、今回購入した2015年版とで、強弱が違うことが分かりました。2015年版の楽譜でみると、35小節目のアルトがppになっています。 
また、小節番号も異なっており、2001年版では、アウフタクトから始まるように書かれていますが、2015年版では、冒頭に3拍の休符があったうえで、4拍目から音が始まるようになっています。休符が作曲されたわけですが、音楽的で美しい修正だなと思います。
その他、僕が気づけていないだけで、まだ変更点があるのかもしれません。発見された方は、ぜひシェアいただけるとありがたいです!
 
来週は年内最後の稽古、がんばりましょう!⛄

小田直弥