よびごえ日誌
2020.02.13
【2019】よびごえ日誌 vol.034
タグ:作品背景 , 春こん , 発声
こんにちは!1年ソプラノパートの伊野綾那です。
今日は秋学期の授業最終日。ようやく春休み突入ということで、大学がいつもより静かな気がしました。しかし、練習室のある音楽棟4階はいつもと変わらず、活気に溢れていました!それもそのはず、試験が終われば次の曲が待っていますからね!今、私も新しい曲の譜読みに取り掛かっているところです。休みだからといって気を抜かず、こつこつ練習していきたいと思います。
さて、今回の練習はかのんさんが発声練習を担当して下さいました。最初の体ほぐしでは、前屈をした状態で脚の後ろ側全体を伸ばしたり、しばらく小刻みに揺れて脱力してから止まり、体の軸を感じたりしました。止まった時に何とも言えないふらふら感があり、体が安定する場所を自然に見つけていく感覚を味わうことができました。次に、風紋を意識したクレッシェンド、デクレッシェンドの練習をしました。強弱の幅を全体で統一するため、隣の人の声に耳を傾けながら歌ってみると、自分は思ったより声を押しすぎていて、発声が乱れていることに気づきました。今度は先程とは逆に、デクレッシェンド、クレッシェンドの順での練習です。これは思ったより難しく、多くの人が苦戦しているようでした。音が3度上がったときに弱くなっても、声に芯を残し、かつ強弱の差もしっかり出す、というのが難点でした。しかし、このような地道な練習の積み重ねが、曲の中で使える表現を増やす近道なのかもしれません。
今回の稽古は、細かい確認をしてから通しを行いました。風紋では、ソプラノとアルトの4度、5度、8度の響きを決めるということに焦点を当てていきました。冒頭の女声はユニゾンから始まり、ソプラノの音が高くなることで偶数小節が3度、4度、5度と徐々に音程が広くなっていきます。ただ音楽の流れにのって音程に関して無意識で歌っていては、4度と5度はなかなか決まりません。そこで、音が高くなるにつれて息のスピードを速くし、発した瞬間に音を当てる練習をしました。その際、「来る」「貝」のKの子音で息が遮断してしまうが流れを止めないこと、ポジションは後ろ、息の量は少なく一点に集中させることが課題となりました。テンポが速い曲の中でも音を確実に当てることができるよう、体の準備の仕方、タイミングなどを染みこませていきたいです。
BIN-NAM-MAは、表現一つ一つの違いを明確に、そしてよりシャープな音をつくる、というのが今回のテーマでした。テノールとバスがずれてクレッシェンド、デクレッシェンドする複雑性、クレッシェンドしては音量をがっと落としてまたクレッシェンドする再現性など、この曲には恐怖や不気味さを感じさせる細かい表現がぎっしりと詰まっています。お客さんに気持ち悪いと感じて(楽しんで)もらうためには、その一つ一つを極端に明確に表現しなければなりません。そして、子音の入れ方、ロングトーン、体を叩く音、地面を踏み鳴らす音すらもシャープな音を目指します。いつもはホールの響きが私たちを助けてくれますが、今回ばかりは、シャープな私たちの表現を邪魔してきそうです。柔らかい響きに飲み込まれない鋭さを、これからもっと突き詰めていきます。
お客さんの目にBIN-NAM-MAがどう映るか気になるところですが、忘れてはいけないのがインディアンとベネズエラの大洪水で犠牲になられた方々の目です。自分の肉体と痛みを捧げ、自然の平安を願ったインディアンのダンス。災害の絶望から立ち直っていく人々の姿。思いを馳せるにはあまりにも遠い存在ではありますが、この曲を通して知ることのできた人々の心情を少しでも体恤し、音楽を作り上げていきたいです。
少々重くなってしまいました。最後は井出さんを明るく送り出して締めましょう!
教育実習頑張ってください!私たちも、本番までまだまだグレードアップしていきます!