よびごえ日誌


2024.02.28 【2023】よびごえ日誌 vol.11 春こん。を終えて
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こんにちは、1Bの井藤です。
合唱団よびごえに入団してもうすぐ一年経つことを考えると、大学生活1年目があっという間だったな、と感じます。大学に入って自分のコミュニティが以前と比べ物にならないほど広がったことで今までの自分とは違った視点で物事を考えることが多く、教育的な面・音楽的な面共にとても充実した日々を送ることができました。
 
さて、今日のよびごえ日誌は春こんや春こん本番までの稽古について、またこの1年間を振り返って考えたことなどを書いていこうと思います。
 
まずは、春こんお疲れさまでした&ありがとうございました!
今回のよびごえの活動でも、春学期の合唱祭以上にたくさんの経験を積むことができたと思っています。
実は、春こんに向けて動き出した時、私はかなり不安でした。小田さんのLINEの内容、「春こんの曲を覚悟することができた」という文面を見て、「いったいどんな難曲が選曲されたのだろう、僕は歌えるのかな…」と考えていました。
そうして小田さんセレクトを受けた『だるまさんがころんだ』と『「風の馬」より第三ヴォカリーズ』の2曲。どちらの曲も譜読みから難しく、音取り用の音源を小田さん・藤原さんに作っていただき、それを聴いて練習しても初めは全然うまくいきませんでした。さらに2曲とも歌うパートが自分1人になる箇所(『第三ヴォカリーズ』に限っては曲のほとんどの部分・・)があり、「頑張ろう!」という気持ちはあれど「あれ、これ皆と合わせできるのかな…」という不安が大きくなっていきました。1回目のよびごえ稽古では、他のパートの音は聴かずに、まずは自分の音が合わせでも正確に取れるように意識しましたが、やはりうまくいきません。しかし悩んでいるのは自分だけでなく、皆が必死になって練習している光景は自分にとって何より勇気をくれるものでした。
だんだんと練習を重ねる中で正確に音が取れるようになってくると自信が付き、他パートの音源を聴きながら歌えるようにも練習しました。しかし…いざ稽古で合わせてみると、練習の時とは雲泥の差。実際の生の音は歌いながらだととても聴きづらく合わせづらいもので、音源と人の生で聴く声がまったくの別物だということを痛感させられると同時に、毎週の稽古の重要さも身に染みました。
 
そして、待ちに待った(?) 初の小田さんとの対面稽古。改めて気づかされることの連続でした。特に発声では、「空気をどのように吸って・身体のどこに溜めて・どこを通って出ていくか」を意識しながら行うこと、「この高さの音は出ない、と自分自身で決めつけないこと」など、今まで自分が行ってきた発声が如何に無意識に声を出していただけだった、ということが露わとなるようなことばかりでした。いつかの稽古の振り返りで、自分は高校の先生が「本番前に10発10中ではなく100発100中になるように練習しなさい」と言われたことについて話しました。小田さんはよびごえの稽古で皆がわかりやすいように明確に言語化して、つまり理論的に、発声や歌のヒントを提示してくれました。小田さんの教え方から、「100発100中」も大きなイメージではなく、1つ1つの身体の動きやテクニックに理由と方法論を用いて技術を構築していくことで「まぐれ」を無くしていく工程、と捉えられるのではないか、と思います。       
音がそろってくると、今度は歌詞や音程間の解釈に取り掛かりました。まだよびごえに入団して1年も経っていませんが、他のメンバーと意見交換をしながら時間をかけて曲の解釈を深めていく過程は、よびごえならではのとても良い活動だな、と思っています。1人ではきっと気づかなかったであろう新たな表現方法を発見したり、音楽に対する視野が広がったり、様々な視点からの歌詞解釈ができたりと、とても楽しい時間でした。この時間が無ければ、『だるまさんがころんだ』では怖く感じるイメージだった音形が温かく感じることはなかったし、『第三ヴォカリーズ』では曲の流れをはっきりと言語化することはできなかったと思います。
 
そして迎えた、春こん本番。今までの練習や稽古で取り組んできたことが多かったため、成果を出し切れるか、ホールでしっかり響く声で歌えるかと若干の緊張がありました。ですが、「音楽は、最後は心だから」という小田さんの言葉で、楽しく歌い切ることができました。曲の出だしの音量が違うといった点もあると思うのですが、夏に合唱祭で歌った時と同じホールだとは思えない程、第一声を出した瞬間にホールがよく響いていることがわかりました。練習でできたことが100%できた、とは言えないのが本番の怖いところですが、当日1人も欠けずに楽しんで演奏できたことは自身のとても素晴らしい思い出になりました。
 
4月からは大学2年生となりますが、この1年間で学んだことを活かして、自分に足りていない力を付けられる1年にしていきたいと思います。小田さんが春こんに向けたよびごえ日誌に「より良い合唱活動を実施できるようになるためには、たくさんの作品を知っておくことも大切」と書いていました。私が合唱団よびごえの一員として歌ってきた曲は今まで知らなかった曲の方が多く、知識・技術含めたくさんの経験を積むことができました。来年度からよびごえも新たなメンバーとなりますが、新1年生も一員に加わり、より多くの経験を一緒に積んでいけることを楽しみにしています。
 
長々と書いてしまいましたが、これで最後です。お付き合いください。
「教師はネガティブではいけない、ポジティブであれ。」少し言い切った形で書きましたが、稽古で小田さんがおっしゃった言葉です。東京学芸大学で1年学び、入学前より教壇に立つことが楽しみな反面、教師の裏側も思っていた以上に大変そうです。正直に言って、自分はポジティブではありません。理解していても、気が付くとネガティブ方向に偏っていきます。よびごえの活動含め、少なくとも大学4年になった時、このよびごえ日誌に自分がポジティブになれた、といった表現がより多く書かれていることを願っています。
ありがとうございました。
 

井藤一輝