よびごえ日誌
2026.06.02
【2026】よびごえ日誌 vol.4 新歓稽古②
タグ:新歓
みなさん、こんばんは。小田です。
あっという間に6月になってしまいました。未来への記録のため、新歓稽古の2回目(5月22日(金)18:30~)についても、書いておきたいと思います。
今回は、まずは2人組(もしくは3人)になり、完全5度を決める練習を行いました。
完全5度の響きは、音高さえ合っていればキマる、というものではありません。さて、完全5度を決めるためには、どんな意識や工夫が必要なのか、これを考えるところからスタートしました。
みなさんから出た意見は以下の通りでした。
・音の幅を正確にする必要がある(それぞれが正しい音を歌うというよりも、2人の中での音の幅が完全5度であること)
・発声のポジションが、浅いよりも深めの方がはまりやすそう
・音色がそろっていると、はまりやすそう
・ビリビリと鳴る感覚をガイドラインにしていく
その他にも、いくつかの母音を試してくれたチームもありましたが、母音よりも発声のポジションの方が完全5度を決めるためには重要なのではないか、という実験的な検討も興味深かったです。
次は、女声と男声に分かれて、和音を決める練習を行いました。
完全5度の響きがある中に、第3音を上手にはめることで和音が成立するわけですが、美しく鳴らすためには、どんな意識や工夫が役に立つのでしょうか。
みなさんから出た意見は以下の通りでした。
・音色も大事だが、バランスがもっと大事なのではないか。
倍音原理から考えると、主音が一番強く、次に第5音、その次に第3音という順番で弱くなっていくのではないか。
・どういう声の人をどの音に配置するか、という計画も大事かもしれない。
例:主音には倍音が多めの人、第5音は少し太めの声の人、第3音は軽めの人
ここで、だんだんと合唱になって来たなぁという感覚が個人的にはありました。それは、それぞれの音の役割を見つけようとすることや、仲間の声の特性を観察したうえで作戦を練ろうとしている点です。
合唱と声楽の違いは、集団であるか個人であるかです。集団の場合は、そこに社会があり、社会があるところには役割が発生します。それを守らなければ社会は崩壊し、秩序を失うことになります。
最後に、前回も扱った「ふるさと」(詩:小山薫堂 曲:youth case)の混声4部の編曲のうち、練習番号C(23~30小節)を用いて、開離と密集の和音配置に着目しながら、またカデンツにも着目しながら、和音をきれいに歌えるためにはどんな意識や工夫が役に立つのか、考えてもらいました。全体を2群の合唱に分けて、それぞれのグループで取り組んでもらいました。
密集型の場合は、ハモりやすく、直前のワークをそのまま応用できたみたいですが、開離型については苦労もあったようです。
さて、今回のワークでも、お一人お一人が本当によく考えながら、またペアやグループにてよく話し合いをしながら進めてくれました。前回の新歓稽古でも扱ったように、「書かれていなくても書かれてあること」が、今回のワークの影のテーマでした。強弱記号等が書いていないとしても、完全音程などを決めるときにはなんらかの工夫が必要ですし、和音の場合は、すべてのパートに同じ強弱記号が書いてあったとしても、実際は、それぞれのパートのバランスを工夫する必要がありますね。
前回と今回の2回にわたって扱った内容は、「書かれていなくても書かれてあること」の一部にすぎません。まだまだ、見つけられるようになってほしいと思いますし、1つ見つかるほどに、ご自身の音楽の学びが1つ進んだと思っていただいてよいと思います。目に見えない音楽という時空藝術は、本当に面白いと思います。
そして、今回の新歓稽古の主たるテーマは、合唱の本質である、「和音」と「協力」と設定しました。
一人では和音は作れませんが、仲間が集まれば和音を作ることができます。和音の連続体である和声を空間に実現できるのが合唱という表現形態になります。
一人ではないがゆえに、合唱は仲間と協力するという手段を通して、表現をより良いものにしようとします。「こうしてみたらよくなるかも?」「そのアイデアいいね、やってみようよ!」という話し合いの中にも、合唱の本質は存在しているように思います。
みなさんがこれから音楽科の教員として、子どもたちと一緒に合唱活動をするとき、どうか、この2点を忘れずに活動いただけると嬉しいなと思います。独唱や斉唱との違いを理解したうえで、合唱にユニークな学びや体験をデザインしていくこと、そうした活動を通して、合唱という表現形態の特徴に子どもたちが気づいていってくれると嬉しいなと思います。
末筆、
今年度の新歓稽古も無事に終えることができました。ご準備くださったみなさん、本当にありがとうございました。
そして、新しくよびごえで一緒に活動くださる1年生のみなさん、困ったことがあったら、どんな些細なことでも先輩方に聞いてみてください。東京学芸大学という環境で、たくさんのことを学び、経験して、ときには失敗も悔しい思いもして、その全部で新しいキラキラした自分になって、未来に、子どもたちと一緒に音楽をしてほしいなと思います。音楽を愛して、仲間を愛して、自分を信じて、一緒に頑張りましょう。
