よびごえ日誌


2021.11.25 【2021】よびごえ日誌 春こん編 vol.4
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初めまして、こんにちは!今回の担当は、今年度から新たによびごえメンバーに加わりました、A類1年の一柳優里愛です。よろしくお願い致します…!
さて、今回扱った曲は、春こん。に向けた2曲。武満徹「風の馬」より「第一ヴォカリーズ」、そしていつものマザーグースより3曲目「If all the seas were one sea,」です。ついに第一ヴォカリーズに取り組み始めました。
今日の稽古を楽しみにしつつも、少々恐れていたメンバーも多い様子。なぜか?日本一難しい合唱曲ともいわれるこの曲、なんと無調で、拍子も書いていないのです。おまけに6パートに分かれるため、1パートの人数も少なくなってしまいます。さすがのよびごえ団員でも、少し不安…。
そんな中始まった稽古。自分の歌っている音は、果たして合っているのか。調性がないことで和声が分からず、正解が見えません。…と、そこで発見が。こんなに複雑な音の重なりの中にも、実は和声がしっかり決まっている部分があったのです。不思議な音の絡まりの中に垣間見えるG-durやF-durの響き。最初は訳が分からない曲、と思ってしまいましたが、もしかしたら、ただ複雑なだけではないのかもしれない。少し、この曲を理解するための手掛かりとなるものが見えた気がしました。
マザーグースの3曲目では、楽譜にスラーが一つも書かれていないことに着目。歌の場合、楽譜に書かれているのは音符や記号だけではありません。歌詞、つまり言葉が書かれています。今回の曲の場合は言葉からフレーズを読み取ることができるため、わざわざスラーでフレーズを示す必要はなかったのです。マザーグースは、古くから口誦によって伝えられてきたイギリスの童謡で、言葉のリズムが印象的。スラーを書かなかったのは、その言葉のリズムを生かすための配慮なのでしょうか。
ずっと昔から人々に口ずさまれてきた、言葉ありきのマザーグースと、歌詞のない歌ヴォカリーズ。見方によっては対照的とも思える二つの作品を、一つのステージでどんな風に表現していくのか、今後の課題です。
ちなみに、余談ですが、ヴォカリーズが含まれる組曲の題名「風の馬」は、武満徹さんがこの曲をつくるにあたって触発された、チベットの仏教文化圏で行われる風習からきているもので、“ルンタ”と呼ばれる旗を指すそうです。ご興味あれば“ルンタ チベット”と調べてみてください。
 
早いもので、もう11月も終わってしまいますね。
最近は冷えますので、暖かくしてお過ごしください。
次回の日誌は同じく新メンバーの、稲村さんにお願いしました。お楽しみに!

一柳